物流不動産ニュース

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変わるアパレル業界 その2 − 第15回 大きく変わる業種・産業界

 アパレル産業に起きている製造の大改革は、実は物流が支えています。従来の大量仕入れ、大量生産、大量販売を前提としたものづくりは、一転して巨 大なリスクの塊となったからです。仕入れても売れ残る、作っても売れない、売れても返品になって返ってくる、という今までのアパレル物流の問題点は、「予 測と計画」という前提にあったからです。
 つまりは、未来は予知できるし、しなければビジネスに勝機はない、と考えていたからなのです。
 あるとき、未来は分からない、起きたことに迅速に対応する柔軟性しか、生き残る道はないと覚悟を決めた時、「直ちに、すぐさま、高速で、正確に」というビジネスチャンスを物流があったから乗り切れたのです。

 ファッション業界はこれから様変わりします。世帯人口が減りながら、若年労働者も減るからです。若者向けからファミリー世帯向けにデザインの流れが代わり、増える高齢者にもおしゃれの提案やライフスタイルに応じたファッションの価値をアピールしてゆかねばなりません。
 デザインごとの売れるボリュームが減ってゆきますから、多様化はすなわち少量化であり、販売単価を上げないためにはロングテール商品を幅広く獲得する必要があるのです。
 ますます、少量多品種生産の傾向が強まってくるでしょう。アパレル業界には発想の転換が求められ、従来のものづくりからの脱却が必然になるでしょう。
 高いものには意味とストーリーが必要になり、安いものには手軽にアクセス(買える)できる場面の提供が必要になります。

 日本で花咲いたユニクロはカジュアル衣料=手軽な普段着、というジャンルは今まで小規模の服作り、手作り、お下がりのマーケットでした。
 今、ユニクロは顧客アクセスを高めるために、小規模店舗や並列店舗、ネット通販に着手しています。大規模店の展開都同時に、駅や街なかでも小さな店舗を広げてきています。
 多様な商品を幅広く、全部は扱えないけれども多くの顧客層を取り込むという戦略。つまりはロングテールの裾野をなるべく取り組み方向性を打ち出しています。

 欧州の高級ブランドショップは、円安も影響していますが、一斉に値上げを打ち出しました。アベノミクス効果で百貨店の高額品が動き始めているからです。
 ビジネスの基本は、単価と数量、顧客の購入単価と頻度で決まります。購買人口層が限られており、将来的に縮小することが明らかですから、いっそうリピーターの確保に向かわなければなりません。
 ものを作るのではなく、顧客との接点を深めてリピートを取りに行く戦略こそが、製造業に求められる転換点なのです。
 良い物をたくさん作る、ではなく、良くて価値のある高いものを繰り返し売る、というマーケティングの転換が生まれているのです。

(花房 陵 イーソーコ総合研究所主席コンサルタント)