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変わる製造業の行方その1 − 第8回 大きく変わる業種・産業界

 今、製造業に課された経営課題は重たい。貿易立国として三国間流通を基盤としてきた日本の工場は、為替の大変動とコストアップ圧力から海外への移 転計画を余儀なくされています。すでに食品工業、自動車工業などはサプライチェーン構成の団体として、一括移転などを済ませてしまいました。
 遠く、中国にはマザーファクトリーの名前のごとくにサプライチェーンを確立しています。関連メーカーの団結力は見事で、現地でなければ自動車も食品も精密機器も原材料・部品の調達が困難になっているほどの大規模集積が行われています。
 きっかけは長く続いた日本のデフレと景気後退の潮流でした。製造業にとって、製品の原価管理やコストダウンは絶対的な使命なのです。為替変動による極端 な円高は、たとえ為替予約を行っていたとしても、売価が日々値下がりする恐怖ですし、製造人件費や電気料金なども国際比較で言えば割高であるために、コス ト競争力が厳しい状況にあります。
 日本のコスト構造を打開するために、産業の空洞化と呼ばれる海外移転ブームが今も続いているのはご存知のとおりです。

●円安、人件費安は魅力なのか

 では、製造業にとっての問題解決には、どんな道標が示されているのでしょう。
為替の安定化は、アベノミクス宣言にある「異次元の為替介入」がさらなる円安の傾向をもたらすことになります。生産に必要な海外からの原材料資材は、今後 も高値止まりすることが容易に予測できるはずです。そもそも輸出入における為替変動は、均衡する傾向が当然あるわけで、長期間に渡る円高、円安などは非常 に特異な状況だったと言えるでしょう。
 では、アジア各国の人件費についての不安材料はどうでしょうか。中国や台湾でのストライキは時折ニュースになりますが、それ以上に平均人件費は上昇しています。経済成長率が10%もあるのですから、現地の労働者にとっても賃金の上昇は喜ばしいことです。
 安い労務費、という発想自体がこれからはタブーになることでしょう。
しかし、自動車の製造コストに占める人件費率が10〜15%と言われるように、製造業にとっての自動化、ロボット化は急激に進展しています。
 もし、自動製造装置があらゆる製造業に普及しはじめてゆくなら、安い人件費は魅力ではなくなります。それよりも、自動機器の制御・保守・管理のノウハウやメンテナンスサービスの充実した日本国内のほうが優位にたてるという考え方も成り立つのです。

●製造業の強みは国内でこそ活かせる

 日本の強みとして、熟練性や専門性、匠の技、というようなことが言われてきました。しかし、大量生産型の自動車、家電、食品は価格競争を乗り切る ために海外移転を果たしました。同時に関連産業も連れ立っての海外進出だったために、もうすでに完成したサプライチェーンが中国その他のアジア圏に確立さ れてしまいました。
 これらの産業はもとに戻ることはできません。
しかし、高技術、高付加価値、高額な製品群については、これからコスト競争力のために、という理由で海外進出を検討することはナンセンスです。すでにコスト優位性が失われていると見るべきですし、製品原価構成に人件費割合が徐々に低くなる傾向は止まらないからです。
 労務コストより知財、技術、特許、マーケティングコストが製品優位性を保つために重要な役割を占めているのです。

 では、次回ではどのようにして「売れる製品を開発するか」というメーカーの使命を改めて考えてみましょう。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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