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物流の垂直統合 - 第9回 物流改革大全

一時的な利益や売上を狙って様々な事業改革が行われてきていますが、その基盤や発想には<事業の拡大、成長>が置かれています。規模の拡大とは、取り扱い商材や顧客の拡大ですが、昨今では消費や生産ともにピークを越えました。拡大は摩擦と競争激化を生むだけです。

どのような方式で規模を拡大すれば良いのかが重大な課題になっています。差別化によるシェア獲得を狙っても各社の取り組みが同じようなものであれば、競争はさらに激しく、避けるべき価格競争に発展するばかりです。

経営の目的は安定的な利潤の追求であり、事業継続が全てに共通しています。事業の拡大はレールに乗った方向付けではありますが、各社共通にそのチャンスがあるわけではありません。市場は限られており、しかも低迷や低下するなら、圧倒的な差別化を狙った価格戦略にも効果はありません。顧客にとっての買い手市場では待機、保留、待つというのが最高の戦略だからです。消耗戦こそ、避けるべき戦術でなければなりません。 

そこで規模拡大を狙ってM&Aがごく当たり前の営業手法となったわけです。各業界ともに経営統合の話題が尽きません。営業手法に金融手段を用いたM&Aが今後も続くでしょう。低金利環境と直接金融が成し得る技なのですから。場合によっては電子株券の発行だけで、資金は不要なのです。規模拡大に最も有効かつ容易な手法として、企業間M&Aを事業計画に組み入れられないのは、このご時世では理由がありません。

ただし、非公開企業や中小零細の場合には企業評価ができませんから、M&Aの話題にも遠く、同時に評価手法が当てはまりませんので、経営統合のパートナー探しにも苦戦するわけですが、それとて不可能というわけではありません。

規模拡大が営業の延長線上にしかなければ、それは避けるべき選択肢になりました。規模拡大を狙うより、範囲の拡大によって効率化と合理化を目指すことが容易だからです。規模拡大も範囲拡張も実は同じ効果や成果を目指すものです。従来まで規模拡大が容易なのは、市場そのものが拡大期にあり、たとえ競争があったとしても、先行者利益が確実にあったからです。

市場が低迷するなら規模拡大戦略は、外すべき選択肢になります。むやみな競争と勝っても成果が少ないからです。次に範囲の拡張は、マーケットにも自社内部構造にも有利に働きます。それは、差別化要素にもつながり、これからの選ぶべき選択肢になります。

例えば物流業であれば、物流工程の上流・下流への進出です。物流情報は販売情報であり、生産情報でもあるわけですから、情報の多元活用が可能になります。荷主、利用者側にとってもワンストップで生産〜販売〜物流のSCMが回り始めることになるからです。

食品業界での物流業務には、当然のように受注と生産指図が物流部門の役割でした。需給機能と呼ばれており、顧客と工場、仕入先との接続が前提となった物流活動です。それは、食品固有の賞味期限や生産リードタイムの速さ、販売速度の事情があり、情報の一元化が欠かせなかったのです。

先行事例を食品業界に見つければ、異業種での取り組みも容易なはずです。

受注代行、生産計画立案、発注代行、在庫管理という一連の社内SCMを整備することで、顧客との一体化が図れることになるのです。

このような事業範囲の拡大、守備範囲の拡張という事業改革は、食品業界以外ではほとんど耳にすることがありません。辛うじて小規模小売業でのEC受注程度でしょうか。まだまだ提案や商談のチャンスが残されているわけです。

 (イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)


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