物流不動産ニュース

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メタ認識(考える段階) − 第1回 物流不動産営業12の心得

物流不動産営業にとって欠かせない12の心得を紹介する。対顧客折衝、ミクロとマクロ視点、物流のライフサイクルマネジメントなど、サービス財としての物流施設を提案営業してゆく際の忘れがちな、しかも決定的に重要な視点を改めて提示したい。

 人は成長と共に思考方法は変わるものであるが、その個体差は意外と大きい。営業といえば価格とサービスで勝負するものという経験則をバカのように覚え、実践するのがその例だ。『バカの壁』で紹介された思考停止の状況でもある。

 思考の段階は3つあり、それぞれは連続しているものではなく、敷居は思いの外大きいものだ。第1段階習熟型。習った通りの教科書的、自然成長的な 思考法。「こうすれば~こうなるはずだ」、というステレオタイプ型。もしくは児童幼児型。条件反射しかできない思考法。セールスとしては、大規模で軍隊型 の一斉拡大の営業展開が効果的な消費財には適応できる。ジュウタン攻撃、一斉戸別訪問、チラシ名刺カタログなど媒体メッセンジャー型。

 第2は自己発見型。いわゆる自分で考えるという、ちょっと上位者。習ったこと、経験したことから新しい道を探す探求は感心できるが、独りよがり、 独断、勘違い、空気を読めないなどと指弾されることもある。好調なときは先行するが、環境変化に弱く、情報収集で間違えると軌道修正ができずに失速するタ イプ。自分で考えよ!と号令を掛けられることが多い現在では、どうしてもこのタイプが標準になっている。思考の方程式、公式、原理などを手にしないで突き 進むと、待っているのは丁か半かのばくちと同じだ。上手くいくのは偶然の連続であって、将来を保証するものではない。

 第3はメタ認識型。メタとは超、高次というかなり上位の概念。いわば、「自分で考えている姿を、上空から眺めている自分と立ち位置を意識する事」。人は幼児児童からおとなへ成長すると、公と私の良心を使い分けられるように、自然に身に付くが維持することは難しい。
 メタ認識があれば周囲の環境や新しい情報を収集しながら、思考の方向や段階を切り替えてゆくことができる。
 優れた営業が「顧客にとっての購買代行」を務めるという話題や生涯顧客の集積収益を考えて無理強いしない営業の話は聞いたことがあるだろう。モノは売らない、ストーリーを売るなどという曖昧な、でも成果を出している伝説の営業マンは確実にここにいる。

 物流という瞬間的なサービス財を売るために、しかも直接の輸送や保管という目に見えたサービスではなく、施設戦略という物流不動産を提案してゆく営業活動では、周辺情報の収集やアタックした当時の感触と現在の状況を瞬時に交錯させてゆく能力が欠かせない。
 常に自分と顧客の「何を考えているのか」という姿を上空から眺めて、次の選択肢を問いながら詰めて行く方法が重要だ。成約に結びつける最短の道と遠回りでも確実に近づく道を同時に視野に入れるには、メタのセールストークが必要になる。

 商談の失敗にメタ認識の欠落はなかっただろうか?

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)