物流不動産ニュース

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仲介と賃貸借契約 − 第8回 再び学ぶ物流不動産

 何よりも尊敬される職業としてのセールスは仲介やブローカーと同じように、何でも売る、誰にでも売るという本質を持っていま す。持つものと持たざるものを情報によって、手を組ませることが仲介の醍醐味です。そこには強引さや無節操という言葉は当てはまりません。一物多価となり がちな不動産物件は、売り手と買い手には「情報の非対象性」リスクがあります。売り手だけが知りうる情報が隠され、買い手が不利となるかもしれないという リスクです。営業は双方代理でなければなりませんから、契約条件を詰め始める際には「平等条件」にレベルアップさせる必要があります。情報の非対象性を解 決するのは営業マンの責任なのです。

 役目は極めて重要です。唯一無二の不動産はその価値を認める人に出会うまで、千人の手を経てから生まれる、と言われてきました。確率が低いビジネスと見るのでしょうか、それとも顧客にフィットさせるために検索や調査が遅い能力のない営業マンが多いと見るべきでしょうか。

 ニーズが顕在化されストレートの注文が入るまで待つだけなら、千三の評判どおりに効率の悪いビジネスとなりますが、情報の非対称性を逆手に取り優位情報を積極的に公開、提案してゆくなら引く手あまたのブローカーになるでしょう。

 売買にせよ賃貸契約にせよ根底にあるのは、これらの情報の非対称性なのです。疑心難儀や隠蔽のリスクを解消することが物件仲介の責任であり、その 保証を示すことが営業活動なのです。いわば、非対象性を正対象に戻す作業といっても良いでしょう。物件の隠れた価値を顧客の顕在・潜在要望にクロスオー バーさせる技術、これこそが仲介営業の目指すべきものです。

 避けなければならないのは、多くの物件にアクセスできることを理由にAが気に入らないならBへ、そしてCへというようにサーフィンを繰り返すことです。物件に求める目的の本質は何か、という根源に迫らなければいつまでも青い鳥を求める妄想に付き合わされてしまいます。

 物流不動産はソリューションであり手段です。物件の売買や賃貸は目的ではないのです。ここまで踏み込めなければ、いかに仲介物件が豊富としてもクロージングは夢物語になるでしょう。次回から、契約条件の詰めに進みます。