物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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物流コストゼロの時代が来る marginal effect(第21回) 物流マネー70兆円のゆくえ

物流コストは競争原理に従って、規模の経済性を獲得することで原価低減が進行することになっていた。つまり、すでに運行しているトラックに追加の貨物を載せても、その物流原価はゼロ円だ。

倉庫が不動産契約で管理されているなら、在庫の追加保管コストもゼロ円であり、荷役作業も残業にならなければ集品作業コストもゼロ円で済む。シェアリングエコノミーは経営資本の遊休資産を活用することで、追加収益をもたらすが、実際の原価はゼロ円に限りなく近づいている。

従量契約に基づかない活動は、再生可能エネルギーを利用することでほとんど原価がかからない活動になっている。

付加価値を認識できない活動はゼロ円が妥当なのだ


単純輸送、保管、追加作業のコストは上述のようにゼロ円でまかなえているのが実際で、原価計算の根拠がなければ誰も損を強いられているわけではない。遊休資産が僅かに稼働したとしても、減耗が生じることがないもの同じ理理由だ。

技術進化とエネルギーの代替化が進めば進むほど、限界費用はゼロになり、限界収益は喪失されるだろう。それは付加価値創造活動にリンクして、根源的な発想や仕掛け作りだけに価値が生まれることになる。

ちょうど前衛芸術の音楽、美術などの理由がオリジナルな発想に起因しており、実際の制作活動はプロデュースであることと似通っている。

例えば武満徹の音楽は、和音と静寂の組み合わせであり、演奏は別の音楽家に委ねられてきた。手を下さず、ディレクションだけで完成される芸術にもコストはかからない。

同様に有休状況にある物流資産を活用するようなサービスは、原価はゼロ円であり、公共福祉に貢献できるだろう。先進諸国の実験が後発諸国にとっての経済効果は計り知れない。

数える、保管する、運ぶという産業はすでに価値半減期に突入しており、産業消滅も間もないことが十分に想定内事実となっているのだ。市場規模70兆円は蒸発間近にある。

 

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>