物流不動産ニュース

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モチベーション motivative(第36回) 物流マネー70兆円のゆくえ

運輸や倉庫で働く人々が恵まれていない。長い労働時間と低い処遇で次の担い手が現れないという。では待遇や条件を緩和すれば多くの働き手やドライバーが集まるかといえば、そこには曖昧さが残る。待遇の内容次第というのが本音だろう。

「人はパンのみのために生きるにあらず」とは、労働への欲求と動機づけを説明するものであり、生きるだけの労働再生産を条件として考えてきた経営者の傲慢である。

働く意味や意義が変わり、労働時間短縮や精神環境面の配慮を条件にした働き方改革が叫ばれている中で、物流業界だけが放任されてきたとも言える。

 時間給や勤務シフトさえ緩和すれば、派遣会社に頼らなくても済む

という人を機械や歯車のようにみなした安易な思考が、現在の人手不足を招いていることに気づかねばならない。働く職場にとっての安心とは何か、働く人にとっての喜びとはどこにあるか。
定時退社でなくとも、同じようなサイクルで労働の実感を持つことだろう。変化を嫌うのは、習慣性を否定される緊張感があるからだ。どんなに忙しくても、今日と同じ様に明日も忙しいほうが気が楽だ。できれば定時で終わればよいが、それでなくても変化の少ない日々が羨ましいはずだ。

目標や指示命令、達成や未達というある種の恐怖で管理するなら、ストレスが蓄積されて、自分らしさを隠しながら能力だけを小出しするようになる。目標が働く人の特定能力だけを期待するから、それ以外を隠し、人らしさを抑え、調和や協調、感謝や奉仕を避けるようになる。ひいては働く動機を内因ではなく、業績だけで見るようになる。

 働くことの喜びなど、どこにもなく、ただ数値だけが独り歩きするのは恐怖だ

目標という恐怖で縛るなら、人はロボットに置き換わってゆくことだろう。もしくはロボットの世話役に成り下がるだけだろう。

人だけが持つ想像力、構想力、価値の発見、危険の予知、作業への意味付けや奉仕や貢献の喜び。それを失うことの脅威を知らずして、組織論や業績管理、生産性の指摘や人件費削減の業務改善の狙いを定めることは時代の逆行と思わなくてはならない。なぜなら、人手も要員も経営にとって希少資源であり、失えば再び手にすることはできないからだ。

 

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>


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