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フードビジネスを支える MOTTAINAI(第33回)  物流マネー70兆円のゆくえ

我が国最大の産業は自動車でも通信、鉄鋼、建設ではない。どれも数十兆規模しかなく、数十万人しか雇用を生んでいない。ではどこか、それはフードビジネスだ。

食品工業、流通業、提供サービスで合わせて110万社、186兆円、1000万人の従事者がいる。人口1億2千万の国土の1割がフードビジネスに関わっているのだ。もちろん農水産業を加算すれば更に1兆円増える。

食は天からの恵みであり、生き物である。収穫から加工、流通、調理、販売、消費、吸収までの食物連鎖を構成するが、すべての領域に物流技術が必要とされている。

この原理原則は世界共通であり、食は人類にとっての必要不可欠のビジネスでもあり、生活でもある。だからこそ、最も重要視されなければならない産業であり、それを支えるロジスティクスも貴重な存在といえるだろう。

 

モッタイナイの原点は食料廃棄にあった

米穀穀物から始まった日本の農業は、コメの名を瑞穂と呼んで希少化した。消費量は低減を続けて今や年間860万トンと言われている。新種開発も需要喚起には至らず、農家支援政策も財源を失ってきている。

ところが、天からの恵みである瑞穂収穫量860万トンの倍、1700万トンの可食廃棄物が毎年発生しているのだ。天然自然への冒涜とも言われかねない暴挙を世界は見逃さなかった。

「MOTTAINAI」ワンガリ・マータイ氏は、ケニア出身の環境保護活動家である。環境分野で初めて2004年ノーベル平和賞を受賞した人物でもある。日本の豊かな田園、里山を視察しながら農林水産業を視察して、可食廃棄の現実を知ると衛生や鮮度、文化の違いに矛盾を感じての上梓だった。

なぜ廃棄なのかは、生産と供給のバランス、SCMの問題といえるだろう。まさに物流問題なのだ。賞味期限や食品関連法規という人もいるが、すべてを受け入れる覚悟は誰にもない。

物流部門が販売に合わせた最適な流通を設計すればよく、そこにはコストや経済性以上の命を重視したサステナビリティが生かされることになるだろう。

地球と世界はMOTTAINAIと日本を批判している。日本の物流を非難しているのだ。

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>