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<国際競争力は上がったか>55年体制を振り返る − 第3回 政治と物流不動産『政権交代で何が変わるか』

 昭和30年から覚えている経済成長と自民党政治のあれこれは、『もはや戦後ではない』宣言に代表される日本のハイライトだ。所 得倍増とか、経済成長率8%、日本列島改造とかの記憶もあるが、昭和が終わってからはどうも不景気の連続だった。景気=GNPだけではないかもしれない が、ウサギ小屋に住んでいる小賢しい国民だなどとジャパンバッシングの憂き目も浴びながら我慢してきたのは、「いつかはクラウンを」のような上昇志向だっ たはず。為替問題や雇用問題、外交における内政干渉が起きた時の常套句として、「我が国の国際競争力のため」に金融出動や雇用保険削減、文明文化の衝突に も謝って済ませてきた。

 で、肝心の国際競争力は本当に高まったのか?世界一の貧困と言われるバングラデシュよりも本当に豊かになったのだろうか。豊かさは選択肢の多さだとか、一人当たり貯蓄額だとか、持ち家率とか、家族の多さだとか・・・・・。

 国際競争力をただ単にGNPで言うなら、まもなく中国に抜かれて銅メダルだが、一人当たりでみれば10位程度。家計の所得は500万円で貯蓄額は 大好きな生命保険があるので2000万円もあるそうだ。生活実感としてはどうなのか。調べてみた。国際比較に使われる指標はOECD加盟国30国での比較 が通常行われる。事務局データベースには毎年国際比較がまさに行われているのだが、見れば愕然とする。誰かに騙されたかのようだ。

 上位に位置するのは一人当たりGNPだけであり、社会資本投下率、納税額、選挙権投票率、自殺率、貧困率などは下から数えた方が早い。

 貧困率とは、中流家計所得の半分以下の収入世帯がどれほど存在するか、という社会格差を表している。我が国は世界第4位。メキシコ、トルコ、アメリカに次ぐ各社社会の王者なのだ。しかも移民や外国人に開放しているわけではないのに。

 高度経済成長、ジャパンアズNO1、流通革命、150万戸住宅を繰り返してきたのに、貧困率が最悪。自殺者は毎年3万人を超えて世界一辛い国家。失業手当も最低ランクだし、投票率なども呆れるほど。政府支出も少なくて国民の平和や福祉には及ばない。

 我慢してきたとは言わないが、政治に何も期待しなかったのは国民が悪い。政治が変わっても官僚が変わらなければ「誰が首相でも変化はない」とうそぶいてきたバチが当たっていることすら気付かなかった。

 劇的なオイルショックやドルショック、爆発した円高不況やデフレスパイラルでも我慢と風雪に耐えようとしてきた国民の誓は、「いつかはクラウンに」のあこがれだったはずだ。

 政治は税収や行政、社会保障や幸福のために何をしてきたか、国際比較を見れば歴然の事態に気付かなかったお粗末が憤りを覚える。マスコミは新聞社 であっても署名記事が書けない。通信社の原稿をコピペしているからで、朝毎読日経サンケイは実は新聞社ではなく、二流の通信記者会社だったことも災いして いる。官僚や政治の会見記事をそのままだから、トレースもしないし、発表の裏付け比較もしてこなかった。

 消費税が国民福祉のための世界標準だ、規制や税は国際競争力のためだ、我が国の外交プレゼンスのタメにも国防予算は2%超えもやむを得ないのだ、政治家のメッセージと言うより自民党広報部のキャッチコピーを疑わなかったことに改めて政権交代の意味が問われている。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)