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主党政策の目玉は何か − 第6回 政治と物流不動産『政権交代で何が変わるか』

 高速道路無料化、児童手当、高校授業料、農業への新所得補償など、政権マニュアルや広報官の口からは大盤振る舞いの約束がされてきた。選挙頼り、有権者受けのする公約が連なり、新年度の予算が通過しようとしている。

 足りない税収と増えすぎた国債発行計画によって、約束がだんだん小さくなってきている。「投票を裏切られた思い」が世論調査の支持率に軒並み現れ てきている。政治資金の話題は避けておこう。50年間の日本政治の中でカネの問題が握わなかったことはなく、「白いハンカチと女性層受けの政治」で東京都 はどれだけ赤字をタレ場がしてきたかをまだ忘れられない。

 自動車家電業界は自民党政策からの業界圧力の甲斐あってのエコポイント&減税が未だに続き、一時のカンフル効果は果たしてきた。家計への一律給付金は小売業へは効果なく、耐久消費財の需要先取りだけが政権の目玉になっている。

 マニフェストで目立つ家計への育児生徒給付、贈与税の減税など、徹底して消費者への給与減少対策ではどのような事態が起きるのであろうか。

 そして、コンクリートから人へ、という道路や箱モノなど社会資本支出の抑制が何をもたらすのか。テレビ番組化した事業仕分けによる、徹底したムダ の排除がまさに「大山鳴動ねずみ一匹」状態だったことから、政権の交代が経済への影響を本当に期待出来るのかという疑問は失望に変わろうとしている。

 官僚主義から政治主導へというスローガンで明らかになったことは、「リップサービス以上の国家運営に政治家は役立たず」という事実で支持率が証明している。

 目玉はわずかな燈火に等しく、我が国の凋落を生まれ変わらせるにはアメリカイズムからの脱却と北欧高福祉社会への転換だ、というメッセージも発せ られないでいる。産業構造の転換は1995年から胎動しており、金融ビッグバンによって我が国が世界に金融立国を宣言するはずであったものの、ハンドルさ ばきに幼稚さがあって、ハゲタカファンドに席巻された記憶が負け犬根性となって、金融業界がリーディング産業にはなれないことを証明された。

 新技術、環境産業、医療観光というサービス産業への転換により、新しい成長の道を描きたいという、無いものねだりから北米外需を転じて、内需国家への模索をしてきたはずなのに、依然として回復基調はアジア外需に頼り切りではある。

 目玉は目玉、本質はどこに向かうのか。CO2削減宣言をしても具体策はどうあるのか、ムダとりによって小さな政府を目指すと言いながら、専門家委員を集めて政治家は小田原評定を繰り返していては始動したのはエンジンだけで予算も軌道にも乗っていない。

 民主党の新成長戦略はこの先10年で650兆円のGNPを目指すと言う。グリーン産業、観光医療によって外需を取り込み、製造業はサービス業化す ると宣言した。新年度の予算はいのちを守ると国民に誓い、雇用と将来への不安を無くすと言う。夏の選挙のためのリップサービスが並ぶ新聞記事に、我らは何 を読み取るのかが悩ましい。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)