物流アセットとロボティクス robotics(第22回) 物流マネー70兆円のゆくえ
物流現場は困っている。需要不足で在庫が膨らみ、人手不足で現場が回らない。ドライバー不足で納期が遅れ、督促問合せと緊急配送で問題は先送り、後回しの連続になっている。物流活動は高度に設計された量と時間のシステム活動であるはずなのに、設計要素のことごとくが予想外、想定外の事態に追い込まれており、破綻寸前の状況にある。
このままでは物流の停止を余儀なくされて、大混乱を来すだろう。
人手不足、ドライバー不足への解決策としてロボット、自動運転が宣伝されているが、導入するための投資余禄がどれほど残されているだろうか。
投資は回収計算が必要であり、何より資金の裏付けとなる預金や担保が必要だ。
賃金水準を上げられない業界に、人手不足解消のため投資余力はどれほど見込めるか
設備投資で労働力を解消するには、賃金原資を更に割り当てなければならず、収益構造の大転換が必要になるだろう。
ちょうど今春闘の時期ではあるが、ベースアップ3%を躊躇する中で一体2000万円のロボット導入が意思決定できるのだろうか。
その判断は稼働率と運営時間の延長に解決策がある。労働には衛生的な休憩が必要だが、機会にはエネルギーの連続提供だけが条件になる。24時間可動の物流設計を行えるなら、投資回収は60ヶ月、2%の賃率で可能になる。2000万円の自在腕ロボットは月額40万円で導入可能なのだ。しかも24時間稼働を前提にすれば、時給換算では600円になるのだ。
ロボットの投資回収計算は、設備投資額の2%÷720時間=分チャージ10円
どんなロボットが欲しいのか。どんな働きをすればよいのか、どれだけの効果を期待したいのか、「購入前の条件が多すぎるので、決まらないのではないか」。
2%、1ヶ月720時間、さてそのコストは割に合うのか、計算は考えるよりも遥かに単純であり、計算は成り立つはずだ。
課題は需要不足の物流に24時間対応のマーケットが果たしてあるのか?という問いにかかっている。
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>