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マネーを司る者 ruler(第3回) 物流マネー70兆円のゆくえ

事業資金も売上金、経費としての物流コストもキャッシュであるが、そもそもそれはどこに由来しているかを考えることはなかっただろう。ましてや、印刷した紙幣や鋳造された硬貨がキャッシュだけだと考えるなら、交換経済から学ばなければならない。

キャッシュは銀行機関が生み出している、デジタルなものなのだ。通帳に並ぶ数字や融資を受けた際に保証された預金証書であって、札や硬貨ではない。では、銀行機関はどのようにしてキャッシュを生み出しているのだろうか。

預金者のキャッシュを貸付や融資に回すだけなら、すぐさま現金不足になってしまい、銀行の金庫は空になる。そうならないのは中央銀行、日本で言えば日本銀行が<預金準備率>というルールを定めているからに他ならない。

金融機関は特権保有者であり、無限大の貸出権利を持つ

日本銀行のホームページを見れば分かるが、この株式会社は政府と民間が資本金1億円の株主になっている。55百万円は確かに日本政府=財務省が株券(株式証券もすでに電子化されたが、日銀は株券という印刷証券がある)を持つ。45百万円分の株式は公開市場で売買が可能であり、その株主は日本銀行しか知らない。実際には売り主がほとんど出てこないので、株価37,000円は取引がほとんど成立していない。

日本銀行は株式会社であり、55%を政府が保有する

銀行機関は日本銀行を頂点に持つ独自の組織を構成しており、社長ではなく日銀は総裁、他の銀行は頭取と呼ぶ。日銀は支配下にある銀行から預金を強制的に集める権利があり、それを<準備率>という。今、日本の準備率は0.1%であり、銀行が営業活動で集めた預金の0.1%は日本銀行に預けかえなければならない。それは、組織を維持するための冥加金とも言える。

100万円の預金は、10億円の融資ができる!

事業資金として銀行融資を受けると、自社の銀行口座に数字が記録される。決してキャッシュで渡されるわけではない。すると、それは融資であり預金でもあるわけだから、その額の0.1%は再び日本銀行に預けかえられる。巡り巡って100万円キャッシュ預金は、10億円の融資可能金額となるのだ。

このようにして、キャッシュは生まれ、銀行は金利という手数料をキャシュとして手に入れることができるのだ。不思議なことに預金をするような余裕が生まれると、その1000倍の融資が可能となり、銀行はその利息を得る権利を獲得するのだ。

「それならオレも銀行をやりたい」、と思う輩のために規制と法律ががんじがらめにある。

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>