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商店街 - 第7回 物流不動産&EC物流の解決力

商店街の衰退は地域の購買力が問題の原因にある。かつては、大型小売店の出店に伴った差別化競争での結果と言われていたが、確かにその一面もあるが大型店の吸引力は絶対的なものではない。

小売業の原則である立地と品そろえでは、少なくとも旧来の商店街は立地面で地域顧客には有利に働くからである。その面を強化して頑張っている商店は意外と多い。日本最古の商店街と言われる品川区武蔵小山商店街は、様々な試練を乗り越えながら、清濁合わせ飲み健闘している。

地方都市の問題は、都市と人口減少そのものの購買力が低下してきたことの原因が大きいのだ。立地を生かしても、大型店への吸収だけで商店街存続の基本販売力・消費力がいっぱいになってしまっているのが真の原因と言える。

そこへ、差別化戦略やニッチ、専門性をいかに高めても、顧客数が全く足りない。もし、ITや物流網でカバーできるとしたら、それは商店街そのものの業態再開発といえよう。

 

小売業の業態である商店街(複合商店)の再開発とは、小売業の課題解決を率先して行うことである。販売時間の延長とそれによるコストを吸収する方策、品そろえの充実とそのための複合レベルアップ、そして立地の優位性をさらに高める方法である。

そんなことは、すでに取り組んできたことだと思われるだろうが、今までの商店街活性化は筋が悪い方策と打ち手に終始してきたと言える。駐車場拡張、専用ポイントカード、お祭りイベント、アーケード工事、懸命な努力の成果としても来店者数が足りていない。

ではどうするか?

 

1 営業時間の延長策は、ITとネットショップというオムニチャネル化で可能となるだろう。商店街のキーとなる店は入り口付近に必ずある。(有力小売店は時計宝飾、組合長の店)が主導で、商店街そのものをネットモールに仕上げて、さらに多くのショップを誘導する。ミニ版楽天を地域で立ち上げる覚悟をすればいい。

 

2 品揃えの充実は、地域ごとの商店街だけでなく、県や地域全域の商店街モールを接続するのだ。ポータルサイトと呼ぶものだ。協調や交渉が厄介のように思われるが、1の方式が定着すれば、徐々に他の商店街も同じような取り組みをするのだ、ただ結合すれば良い。

 

3 地域に根ざしているという立地の強みはどうか。地域購買力の減少は、大規模小売店にお客を誘導された事も一理あるが、何より人口減少、高齢化、産業や企業、工場の退出影響が最も大きいだろう。商圏があり、世帯があるが、小さく少なくなった事の影響だ。

しかし、ネット通販や他の商店街との連携を図れば、小さくなったものが再び拡大させることができる。店があれば信用や信頼感も維持できる。

 

シャッター商店街復活には、ITとネット通販物流が効果をもたらすことができる。それでもまだ顧客が少ないと不安なら、四国丸亀商店街のように上層階にマンションを共同で作り、お客に住んでもらうという絶妙な手法も現実に事例がある。不動産の共有化手法で、店のオーナーは等価交換や賃料収入も得られるのだ。

 

これからの商店街は全てがめでたく再生することはできない。選ばれた地域と熱意ある商店主だけが生き残り、その周りには教育機関、医療機関、行政機関が集積する構想がある。

シニアが健康なうちに移り住む新しい街、第二第三の人生を最期まで送るためのCCRC(Continuing Care Retirement Communities)と言う都市開発が始まったのだ。

 

多様な世代が共に住まわう街が必要なのだ。その中心はかつての駅であり、商店街であるはずだ。

やはり懐かしい街並みが商店街であることには変わりがないのだ。

イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵