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変化対応力 - 第10回 現場のスローガン 物流改善12の視点

慌てている現場に反省はない。物流は波動との戦いだ。今日と全く同じことは、明日には起きません。毎日の仕事量、週間や月間の仕事の波が2倍や3倍は当たり前なのです。そんな中でどうやって、何を備えておくか、どんな準備と手を当てておくかが、腕の振るいどころです。今日を振り返らず、そして明日を考えない、なんていうことがあっては、物流の仕事はできないのです。予測するのではなく、変化に備えることです。

『慌てている現場に反省はあるのでしょうか』。今年の暮れが忙しいのは分かるが、去年も同じではなかったのか。明日に備えるために、今までに経験がなかったのか?ということです。似ていないようで、繰り返されているのではないか。昔も去年も忘れている現場が多いことにびっくりするのです。

会社や組織は独自のカレンダーを持っています。行事のことではありません、季節変動や習慣のことです。物流現場では「今月の行事、来月の対策」という、計画系に弱いことが気になるのです。

経済学者のガルブレイスは、『不確実性の時代』で<連続する不断の変化こそが、あえて確実なものなのだ>と語りました。変化への対応力こそが時代のポイントと述べているのです。

松尾芭蕉も世の中を見て、「不易」は基本である永遠性を、「流行」はその時々の新風の体を意味するものとして使っていました。サントリーは創業90周年として、「流行不易研究所」なんていうのを持っていたことがあります。物流業務の波動も、「実は毎年繰り返される、不易ではないか。」それなら学びで対処できないだろうか。

変わることが確かなのです。昨日と同じ事はしない、同じ事を避ける、同じ事が起きるなら、しっかりと観察する。変化を知るためには、誰よりも先んじて情報を取り入れなければならないのです。新鮮な情報はネットや新聞ではなく、ヒトにあります。優れた新聞記者は「裏取り」といって必ずキーマンに当たるのです。ヒトの解釈を集めようとするのです。情報は、公開された段階ではすでに常識となり、誰もが知っていることになるからです。本当に新鮮な情報は、ヒトが持っているものです。ベテラン、新人、ドライバー、取引先、仕入れ先、訪問者など、物流現場には思いの外にヒトがあふれています。ヒトがいる分だけ、情報収集ができることになる。それを仕事に活かすことが現場に必要なのです。

ドライバーが何を見ているか、どんな印象を持っているか、何に気づいたか。

納品先、街角、競合、同業、同僚の雑談を砂金の山と見ることができれば、情報収集力が上がります。明日と同じ事は繰り返さない誓いこそ、進歩と進化の原点なのです。変化が力になる、そのように考えることができれば、物流は経営に欠かせない役割として、大きな胸を張れるのではないでしょうか。情報収集も物流の役割なのです。

(イーソーコ総合研究所主席コンサルタント 花房 陵)