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情報活用 - 第11回 現場のスローガン 物流改善12の視点

経営資源は、人材、商品、資産、情報の4つと言われています。しかしどの企業もヒトとモノに常に苦労していて、有効な解決策を探し出せてはいないのです。ヒトについては生産性を高めたり、付加価値を付けようと様々な苦労をしていますが、なかなか効果が出せないでいます。生産性や付加価値を高めるのに、一番の近道が情報活用であることを忘れがちなのです。

情報とは、誰にでも見えるし聞こえる、手を伸ばせば手に入れることができるものもあるのです。だだ、情報の価値や重要性に気づくヒトと気がつかないヒトがいるのが実態です。

ヒトの感性が乏しければ情報は雑音と同じだし、手元近くにあっても気づかないという難しさもあるのです。

「情報とは、それを求めている者にしか到達しない」、と表したのがフランスの科学者クロード・シャノンで、情報産業やコンピュータシステム、電話技術の創造者です。シャノンのいう「求める者にしか届かない」という情報の性質は、どう考えますか。

同じ新聞記事を読んでも株を売るか、買うかで勝負が分かれます。これはベテランと素人の違いかもしれませんが、新聞記事の背景情報や複合情報、歴史の流れや自らの経験が、情報を判断する段階で分かれるのです。

すると情報そのものが価値を持つのではなく、情報をきっかけとした一連の思考の連鎖がビジネスを生む事になるのではないでしょうか。

新聞やテレビのニュースは誰でもが知る情報です。その背景やその実態、その応用や評価、判断はヒトが行うことになるのです。情報判断をコンピュータが全部肩代わりできない理由に、ヒトの判断力があるのです。そこで、真に役立つ情報、ビジネスに影響をもたらす情報はヒトから生まれるといえることになるのです。

社内掲示や回覧に新聞記事をそのまま掲示するのではなく、コメントを付ける、解説を併せて掲示するなど、情報を解釈したり活用したりするには人の手が必要なのです。これを惜しんではなりません。情報を並べるだけなら、雑音が増えるだけなのです。

情報を集めるには、情報を発信しなければなりません。物流現場から情報を発信しなければ、会社からは何の情報も届かないのです。世の中のすべてはギブ&ギブン、与えなければ得るものありません。物流現場や納品先、配送先、店舗やマーケットの情報を物流の立場から情報として発信するなら、営業マンの集めた情報とクロスミックスすることによって信憑性や確度が高まってきます。マーケティング情報や公開情報の裏付けになるかも知れないのです。単なるモノの動きや動向であっても、新商品や次の事業企画のヒントになることがあるのです。

漫然と毎日を過ごしている物流現場と情報の価値を知り、情報を集めようと努力し、情報に関するセンサーであることを自覚した物流現場では企業の中における役割が全く変わってくるはずです。

コストセンターだ、ミスクレームゼロを目指すだけの消耗する職場と考えるか、新たな事業の芽を探し出す情報収集機関と考えるかによって、自らの仕事そのものが変わる。

学ぶ組織=ラーニング・オーガナイゼーションというのが21世紀の経営話題になっているようですが、学ぶ素材は物流現場にたくさんあふれている。返品を見れば商品開発のヒントがかならずある。急に売れる、急に止まる、ドライバーの観察眼そんなものから競合の動きやマーケットの温度がわかるのです。物流現場は体を動かす職場だけれども、アタマやセンサーを使えば将来の改善や現在の道の選択肢も変わってくる。そんな取り組みをする現場には、明らかな違いがあるのです。

(イーソーコ総合研究所主席コンサルタント 花房 陵)