物流不動産ニュース

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在庫 − 第7回 現場のスローガン 物流改善12の視点

 すべての在庫は悪であり、限りなく削減しなければなりません。
 在庫とは時間のリスクであり、私たちの仕事の特効薬でもあります。
 その意味を説明しましょう。なぜリスクと言えるかですが、生産・調達と販売までにかかる時間があるから、在庫をしなくてはなりません。
 売れる時に製造が間に合わないから、たくさん揃えておかないといけないのです。いつ売れるか分からないから、在庫として揃えておかないといけないのです。というように、製造と販売の都合によって在庫が膨らんでいるのです。もし、素早く作る方法を生み出せれば、在庫は少なくても良いですね。売りたいタイミングを前もってきちんと押さえておけば、在庫は少なくても良いですね。
 結局、「~~だが、○○できれば、在庫は少なくても良い。」ということとなり、<○○できない理由>が時間のリスクとなっているのです。間に合わない、作れない、揃えられない、・・・在庫とは私たちの<時間稼ぎ>のクスリとなっていて、担当者には責任回避の特効薬なのです。
 SCMというのは在庫管理の方法論であり、売れるものを作る、売れたら補充する、売るために在庫を持つ、という原則があります。常に在庫はギリギリで持つようにしなくてはならないのです。そのために現場、製造、発注管理、資金計画すべてがつながった時に、本当のSCMが具体化したといえるのです。誰もが最小限のリスクに挑戦して、特効薬は持たないように心がけて、初めて到達できる頂と言えるでしょう。
 在庫管理システムがあればよいということではなく、社内の情報共有と意識の統一、在庫というクスリを最小限にしておくことの大切さを皆が守ったときに、SCMが実現できるというものです。
 在庫商品の置き方、発注の方法などは詳しく調べなくても現場の雰囲気や感触で知ることができます。倉庫にある在庫状況を見ると、その会社の台所が分かるし、働く人々の意欲も分かるのです。管理の仕方もその会社の思想も現場で知ることができる。在庫を見られるのは、実はとても怖いことなのです。

(イーソーコ総合研究所主席コンサルタント 花房 陵)