物流不動産ニュース

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稼ぐ速度はどれほどか velocity(第27回) 物流マネー70兆円のゆくえ

運ばない、保管しない、作らない究極の物流、SCM成果は需要に合わせて供給のバランスを取ることだ。今売れる商品やサービスをインターネット経由で全世界から調達して渡してゆく、究極のSCM完成形はオークションシステムと優れたセールスマンで完結する。 

ところが決済やキャッシュフローがどうなるかを考えている物流会社はほとんどいない。倉庫からの出荷やトラックでの配送がそのまま売上であると誤解している。

掛売とキャッシュフローの違いは国際会計と日本固有の会計基準でも異なっており、

「現金と売上額」の違いを知ることが少ない。

流通業界の苦労は貸し倒れ、連鎖倒産、請求回収の苦労にある。小売店は顧客との接点で顔や風体が見えているから信用に不安はない。現金でもクレジット、電子通貨でも現物交換なので安心だ。
 
製造と卸売りは頼るべき信用が当てにならず、製造するために現金が必要であるし、製品を受け渡しても現金が手元に入る保証はない。むしろリスクのほうが大きいから、

在庫が現金に変わる速度=現金交換速度を気にしているのだ。

かつてデルモデルと呼ばれた受注生産販売方式のPCは、ネット受注で3日めに決済入金があり、それを見てから部品発注と生産開始で2週間のリードタイムがあった。

在庫投資も原材料の掛け仕入れなく、キャッシュ先行のビジネスモデルとしてデルは一気に世界を席巻したものだ。
今、製造現場に3Dプリンターが投入され、在庫なし、輸送途上生産が本格的に議論されているから改めてSCMの最終形をモデルするなら、製造・卸・小売・消費者間のキャッシュルートは出荷時点でのエスクロー仮キャシュをクラウドに載せて、消費者の決済情報で瞬時に各自に精算されるなら、販売と生産速度が一致する。
 
在庫の現金化も卸の棚内部、小売の店頭在庫だけとなり、生産速度と販売速度が完全に一致する。これこそがロジスティクスに期待されている仕組みであり、輸送と保管の機能に大きな付加価値をもたらすだろう。
 
これからのロジスティクスとは情報システムツールと金融ファイナンスの機能を組み合わせての輸送・保管・決済でなければならい。
 
ビッグデータ、高速処理、セキュリティ保全、影の黒子としての役割が期待されている。

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>