物流不動産ニュース

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何がどう変わってきたか - 第1回 物流改革大全

「やることばっかりどんどん増えてきているのに、人手も設備も足りない。ましてやコスト抑制が厳しくて、事業推進に新規投資ができないでいる。」どこからでも聞こえてくる、物流の課題を今まではどうやって切り抜けてきたのか。現場や目先の業務改善では到底追いつかない、事業環境変化に対応するために、イノベーションが必要。改革とは対処であること、これが鉄則です。

仕事の進め方、組織の役割、人々のマインドや評価の手法など、たくさんの改革が行われてきました。それらを振り返りながら、これからの改革手法を論じていきます。

第1回目は、時代をさかのぼりながら、物流ビジネスの環境を振り返ります。環境に応じた対応を間違えれば、改革どころか失敗と退場が待ち受けているからです。

 

■昭和の終わり

「昔は良かった」という時の昔とは、バブル絶頂期を指しているのでしょう。土地も株も物価も膨張していて、モノが飛ぶように売れた時期がありました。その前も1ドル240円という為替のために、輸出産業は好調でしたから日本の成長黄金期が確実にあったのです。

時代が平成に変わり、バブルの終わりが見えてきた頃から、現在までの20余年はずーっとデフレ不況と呼ばれ続けています。急激なバブル=インフレから、景気失速によってデフレに突入しているのですが、世界も同じようにインフレとデフレを繰り返していて、景気循環は法則ですから避けて通ることはできません。経済環境にどうやってフィットするか、インフレでもデフレでも企業をどうやって守り、成長させて行くかが必要なわけです。

景気が良いから利益が出た、悪いから苦しい、というのでは、風が吹くと回り始める風車。帆を張ってもどこに向かうかは、風次第となってしまいますね。

1980年代は世界が日本に学べとばかりにもてはやされた頃でした。MADEインJAPANが粗悪品から熟練の技という高品質を認められたものです。

 

■長期停滞へ

バブル景気は起こるべきだった失策の成果と反省されて、金融財政の見直しが進んでいます。大量生産、大量販売、量への対応が物流の使命でした。一転して、生産も販売も停滞へ向かい、少ないモノをいかに安く、正確に行うかという熟練性が問われるようになってきているのだといえるでしょう。

ここに、物流の量から質への大転換が起きているのです。

大量高速物流から、少量高品質物流への転換は、ここに従事している人たちが大混乱となってきています。効率化と有効化の問題、生産性の測定やその効果の判断に様々な混乱が生じています。 特に物流で重要な効率化、生産性の考え方では、1時間当たりの処理量をいうことが多いのですが、外部環境に大きく左右される物流では、時間生産性を正しく理解することが大切です。

例えば、デパートの駐車場を見てみましょう。入退場をコントロールする人々の作業生産性は、車の波に影響します。デパートの開店間近は大量の車が来ますので、非常に忙しくなりますが、逆に閉店間際では暇を持て余すようになるはずです。営業時間が10時間だとすると、作業員の営業時間をベースにした作業生産性は、午前と夕方では数倍の開きが起きるでしょう。

生産性を上げる、生産性を測定する、という業務効率の評価や判断では、外部環境がどう影響するかを見ておかないと、現状評価から改善の判断を見誤ることになるのです。

(イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)