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働き方の進化 - 第4回 物流改革大全

はるか遠い昔、初任給100万円ドライバー募集!っていう広告が話題になりました。S急便の大阪に登場した求人票は日本中を駆け巡り、全国から応募があったと言います。東映映画で今は亡き菅原文太兄ぃが《望郷 トラック一番星》という映画でも腹巻きには札束が覗いていました。それほどトラック業界はハッピーな時期があったのです。

今は、どれほど時給を上げても運転手は集まらないと言います。このままでは物流が止まる、NHKは特集番組を放映し、ビジネス雑誌は「物流の復讐」なんて書き出しを踊らせています。

リーマンショックで工場が止まった時、日比谷公園では物流企業が人材募集をボランティア精神たっぷりでテントを張っていたのに、応募がゼロだったという悲しい笑い話も記憶に残っているでしょう。

なぜ、こんなになったのか?ドライバーが高給取りから3K職業になったのは、運送業法の規制緩和があったからです。

物流企業に人が集まらなくなったのは、バイト・パートの他に人材派遣業が登場したからです。もともと派遣事業は特殊技能の職業派遣でしたが、こちらも規制緩和によって労働者の派遣範囲が一気に広がり、製造業や物流業にもOKとなったからです。

う〜ん、物流には確かに人の手が必要だけれども誰でも良いっていうわけではないはずです。

一般オフィスの管理職も、ホワイトカラーイグゼンプション、英: white collar exemption、ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度)と呼んで労働時間規制をナシにしようとしています。なぜでしょうか。派遣労働法や管理職の働かせ方が変わってきたのは、どんな理由なのでしょう。そして今でも言われている、能力主義賃金体系は新しい給与体系の主流になりつつあります。

企業経営が利潤追求だから、企業の経費ウェイトの高いところから抑制というか、カットの手が伸びているのです。これも経営サイドから見えれば大改革です。労務費用が固定化、下方硬直性で維持できるのです。一時的な経営不振では売上が一気に下がり、利潤どころではなくなりますから、経費額の多いところから抑制が始まります。賃金カット、正社員のリストラ、非正規労働者(派遣社員、パート、バイト)へのシフトが始まります。すでに、こんな打ち手は至極当たり前の状態になってしまいました。経営改革は賃金抑制へ大成功を収めているのです。

このままで良い訳はありません。我が国の最大産業は小売業、流通業でその売上高はGNPに匹敵します。約500兆円の売上と300兆円の付加価値創造が行われているのです。つまり、GNP6割は家系消費=賃金所得となっているのですから、給与の抑制は消費低迷となり、景気回復はますます遅れるのが明らかなのです。

ではなぜ、給与に手を付けてしまったのでしょう。私は緊急事態宣言下の出血防止策だった、と信じたいのです。アベノミクスでもゆるやかな物価上昇2%を経て、給与が上がるのだ、と政策は広報を続けています。

そうありたいのですが、目先は曇天です。正社員が減り、非正規労働者の代替で工場やオフィスが維持できたとしても、そこには余裕がありません。ワーカホリックの状態に変わりはないのです。ワークライフバランスと呼んで、働き方を変えようと呼びかけが続きますが、成功している企業はとても少ないでしょう。

むしろ、管理職の潜在うつ症状、家族や親族の高齢化による在宅看護のための突然の休職事態が問題になりつつあります。10年後の職場は3割が健康と家庭の事情による、退場が起きると予想する労務の専門家がいます。

働き方、働かせ方を今のうちに改革しないと、現場が突然停止するリスクがますます膨れ上がっているように感じています。

 

(イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)


国際物流総合展2021