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株式会社若洲 岸上 忠彰代表取締役社長 − キーマンに聞く 第27回 

 新聞輸送から始まり、帳票やDMなどの紙関係の配送を行っている若洲。企業のデータの電子化、コスト削減などで、紙関係の輸送・保管量は業界全体で減少 傾向にある。その中で、“エコ”という切り口と“川上から川下まで”に切り込むことで、新たなビジネスにつなげようとしている。その取り組みの中で、社会 貢献、地域活性化へのアイデアも広がっている。

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自社の差別化戦略と若洲地区のPRの両方を語る岸上社長

 ――新たなビジネスを始めるきっかけはISO監査のときの一言だった。

 岸上 当社は、ISO9000シリーズ、14000シリーズ、プライバシーマーク(Pマーク)を持っている。 Pマークは倉庫業界の中では全国で4番目に取得。差別化戦略を打ち出してきた。一昨年のISO監査の時に、環境対策で毎年取り組んでいるペーパレス化と電 力削減の取り組みを説明したところ「他の対策もないのかなと」と監査人に何気なく言われた。その言葉を受けて、社内で新しい取り組みを検討した。それが、 紙の溶解処理と必要な量の印刷サービス(オンデマンドプリント)だった。

 ――紙の保管を中心に考えると、その上流と下流のそれぞれのサービスを付け加えたということか?

 岸上 そんな単純なものではない。そもそも、当社で帳票、パンフレット、カタログなどを保管しているのは、お 客様が印刷所に大量のロットで依頼しなければならないからだ。それが当社の売上の一部になっている。しかし、それだとフォーマットが変わったり、新しい文 言を付け加えたりすると、過去のものは未使用のまま廃棄となることもある。これではお客様のコスト増になり、環境にもよくない。それで、データがあれば、 必要量だけ印刷できるオンデマンドプリントの機械を導入した。

 ――自社の保管などの売上が減少する可能性もある

 岸上 そういうことだ。それでも、今までの保管だけ、運送だけでは、他社との差別化は図れない。お客様のコスト削減と、エコということを当社の売りとしてやっていくことで、新たな売上を見つけることができる。

 ――例えば。

 岸上 印刷では、帳票や年賀状、卓上カレンダー、会社案内などの印刷が得意だ。すぐにフォーマットが変わってしまうものや、小ロットのものは、印刷所に頼むよりコストが下がるのではないか。新しい売上が上がり、そこから運送や配送の仕事につながることも多い。

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オンデマンドプリントの印刷物。葉書やカレンダーなどには、それぞれプレゼントする人の名前を1つずつ入れることも可能だ

 ――一方で、紙の溶解と再生にも取り組んでいる。

 岸上 印刷は、保管、配送の川上部門。一方で紙の溶解は、保管等の川下部門となる。今までお客様から廃棄を頼 まれると専門業者に依頼していたが、それも配送などのコストが掛かる。それを、機械を自社で導入したことで、同じ建物内で溶解して、再生紙にできる。当社 の中で、印刷、保管、配送、溶解、紙の再生という循環を実現した。他社との差別化を図るためには、お客様に独自の価値を付けられるサービスを構築しないと いけない。そういった点では、自社内で印刷から紙の再生まで一貫して対応できる“循環型企業”というのは、お客様の“エコ化”という観点でも、よいPRに なるはずだ。

 ――社員の意識も変わっていった。

 岸上 自分が利用したコピー用紙が目の前で再生紙に生まれ変わる姿を見る。そのため、ゴミの分別がしっかりで きるようになってきた。また、セロハンテープやホッチキスの芯などが付いていると再生ができなくなるが、それも、外している。そこから紙だけでなく、資源 ゴミの分別などもできるようになってきた。当たり前のことだが、これをしっかりするのはなかなか難しい。

 ――より多くの人に環境に興味を持ってもらうため、若洲にある本社センター内に一般の人も見ることができるエコプラザ若洲も立ち上げた。

 岸上 この溶解機械は日本で2台しか導入されていない(Duplo社製)。展示会に出ているのを見て、使える と思った。1日で最大約8000枚(A4換算)の紙を溶解し、その9割を再生紙として利用できる。社内のコピー機などでも問題なく使える。社内のA4用紙 はすべて再生紙でまかなえている。エコプラザ内に設置したので、機械に興味がある人だけでなく、環境対策に興味のある方など、多くの方に実際に見学しても らえる。エコプラザ若洲内には、その小型製紙装置に加えて当社のオンデマンドプリントの宣伝もさせてもらっている。LED(発光ダイオード)や太陽光発電 パネルなども陳列している。将来は、若洲地区の環境の取り組みを集結した情報発信の広場にしたい。

 ――そのためには、各企業の協力も必要だ。

 岸上 若洲地区の企業36社による若洲協議会というのがある。若洲地区の企業は、それぞれ助け合おうという考 えが強く、若洲地区全体での取り組みをやっていこうという気運になっている。最近では、BCP(事業継続計画)について、セミナーをやったり、当社が作成 したBCPを開示したりしている。また、地震の避難場所として、当社センターの屋上を使ってもらうことにもなった。地区全体で取り組みを増やしている。若 洲には大きな風力発電の風車があるので、それと合わせて、環境地区若洲をPRしていきたい。


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