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大谷巌一の『よろず物流相談室』 -第3回  

大谷巌一の物流よろず相談室

ここ10年間で物流業界は、認識・思想・価値観が革命的に変貌するパラダイムシフトが巻き起こっています。

そんな物流業界の形態変化をいちはやく察知し、中小零細の物流事業者が窮地に陥ることを声高に訴えてきたのがイーソーコグループの会長・大谷巌一です。

倉庫の現場作業員から出発し、営業、開発を経て経営者にまで登り詰めた大谷の〔勘と経験と度胸〕そして〔先見性〕を凝縮し、皆様のお悩みにお答えするコーナーがよろず物流相談室です。

 

Question:倉庫会社元社員(神奈川・30代男性)からの相談

32歳、倉庫会社の元社員です。理系大学を卒業後、IT関連企業に10年近くエンジニアとして勤務しました。IT業界の将来に限界を感じ、独立への道を模索していたところ、勉強会で倉庫会社の跡取りのA常務と知り合いました。ご自身が考えられたITを活用した物流効率化や新規事業のビジョンをお聞きし、スキルを活かせるチャンスと考え、誘われるまま常務の家業である中堅倉庫会社に転職しました。

入社早々、WMS(倉庫管理システム)の入替えプロジェクト会議にITオブザーバーとして参加しました。表面的に社員はITで業務効率化を進める常務の考えに賛成していますが、内心は大反対の面従腹背状態です。

上司からの「担当窓口は若手社員に任せたい」という提案に対し、若手社員からは「旧システムからデータ入替えや新システムのオペレーションを覚えるには、現在のルーティンワークでは手一杯」という反発、上司は返答できないばかりか、迎合するように「確かに今の人員では無理だな」と呟き始めました。

そうなると、日頃の鬱積が爆発したようで、不参加のA常務に対し「会社の状況、体制がわかっていない」「新しいものにすぐ飛び付く」「業務を搔き回す」といった批判、ボヤキ、泣き言が飛び交います。A常務には面と向かって意見が言えないから、牛歩のように時間をかけ、常務の熱が冷めるのを待つ「放置策」をとることに決定しました。

常務の考える新システムや新規事業は確かに魅力的なのですが、現場はそれを取り入れるメリットを感じていません。結局、常務の考えていたIT化は頓挫し、私も会社を去ることになりました。しかしこのままではA常務が気がかりです。経営層と従業員の意識のギャップについて、大谷会長ならどのようにお考えになりますか?

 

Answer:面従腹背は「メリットの提示」で乗り切れ

実は、ご質問の舞台となった倉庫会社やA常務もよく知っています。A常務は常々「当社の自慢は、経営者から平社員までアットホーム的なところ」と私によく話されています。

今回のご質問を見る限り、会社の将来を考えている社員は誰も居ないようですね。仲が良いのは表面だけで、会社の将来よりも楽ができる現在を優先させる“偽装和気あいあい”と言ってよいでしょう。

ある社員は「土地と建物が都内の好立地に複数あり、賃料収益は安定しているから、自分たちが失業することない」「オーナー経営者一族でない私たちは社長になれないし、頑張っても給料が上がらない。失敗したら怒られる」とネガティブなことを話しており、極めつけの言葉は「ヤル気を出して、オーナーにほめられるものなら、先輩や同僚から嫉妬され、陰湿ないじめに遭う」でした。

経営者になれないのなら、社員で仲良く歩調を合わせ、“出る釘”になることなく給料を頂くほうが賢いという考えです。物流業務が不振でも不動産収入で食べていけることは皆知っていますので、ある意味、社員が物流業に見切りをつけているのです。・・・
続きは月刊ロジスティクス・トレンド8月号にて!

 

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