物流不動産ニュース

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ドローンは夢の中 - 111 

小型の無人航空機、いわゆるドローンとそれを取り巻く環境が急速に進化しつつある。加速度的に進歩する技術と使用者の発想に法制度が追いついていないこともあって、報道などでは悪者にされかけたりもしている。とはいえその可能性と発展性の広さは誰もが認めるところ。物流においても配送やクレーン代わりに使えるのではないかといわれ、技術的課題が解決されればすぐにでも実用化されるかのような論調も見られる。そこで、ドローンの現在地と物流における実用性を見極めるべく、5月20日~22日まで幕張メッセで開催された「国際ドローン展」を見てきた。

約50社が出展した同展は今年が第1回。幕張メッセでは工業技術系の展示会なども同時開催されていたが、なかでもドローン展の混雑が最も激しかった。熱心にブースを見て回る人も多いが、物珍しさから見に来ているといった人も少なくないようで、ドローンを初めて目にしたという人も珍しくなかったにちがいない。結論からいうと、技術が先行してユーザーが着いていけていないという印象を強く受けた。「ドローンが凄いのはわかった。ではこのテクノロジーを何に使ったらいいだろうか」という来場者に対し、「こんな使い方がいいと思うのですが」と探りを入れるかのような出展メーカーが見受けられるのだ。

物流に関していえば、あくまで展示内容からの印象だが、配送やクレーンの代わりといった使い道が実現するのはまだ遠い先であるといっていい。モノを運んだり吊り下げたりするのは技術的には可能だが、費用対効果を考えればドローンを使用するメリットはまだ薄い。出展メーカーも、パンフレットに「物流」「配達」などと記載しているもののニーズには懐疑的のようで、実物の展示は皆無だった。

一方で最も現実味がある、というよりすでに実用化されているほぼ唯一の使い道が撮影で、これは警備・監視から建造物の点検、測量、非常時の状況確認まで活用できる場面も多い。今しばらくは、ドローンが撮影した映像に驚きつつ物流での使い道をあれこれ想像しているしかなさそうである。

それはともかく。ドローン展を見て、1台欲しいと思ってしまったのは私だけではないにちがいない。何にせよ夢のある機械である。

(久保純一)2015.06.05