物流不動産ニュース

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そろそろオープンデータの活用を本気で考えよう - 112 

先日、縁あってオープンデータ活用のためのセミナーに参加した。オープンデータの概念は何となく知ってはいたものの、恥ずかしながらその本質とそこから得られるビジネスチャンスの大きさについては初めて知った。

オープンデータとは要するに、自治体などが保有する膨大なデータ(いわゆるビッグデータ)のうち一般に公開されているものを指す。このデータを活用してインフラ整備やビジネスにつなげようという動きは2000年ごろから欧米で活発になり、最近は公開されるデータの増加もあって国内でもひろがりつつある。

例えば欧米では、人口統計や公共交通機関、インフラの整備状況などのデータと不動産情報を結びつけ、不動産を選ぶ際の新たな目安として提供している企業がある。河川や水利、土壌の透水性などのデータを組み合わせ、洪水のリスクを提供するサービスもある。また農作物の収穫量や気象のデータを解析し、収穫被害発生率に基づいた農業保険を販売している保険会社もある。これらのビジネスで使用されているデータは、誰もが目にすることのできるものばかりだ。オープンデータを活用したビジネスは、アイディア次第でいくらでも可能性をひろげることができるのである。さらに最近では、企業が自ら保有するデータを公開し、活用のアイディアを募集するといった新たな手法もでてきている。

もちろんこれをそのまま日本の物流や倉庫に応用するのは現実的ではない。倉庫が預かっているのは大切な顧客の資産であり、そのデータは簡単に公開できるものではない。しかしすでに公開されているデータのなかに、物流業界活性化のヒントが隠れているのではないだろうか。あるいは物流不動産ビジネスならこれまでの商習慣にとらわれず、業界に有益なデータを公開できるのではないだろうか。いずれにしても、データはすでにあらゆるところに存在しているのである。活用法がわからなくてもいい。まず公開してしまうというのも手である。

「情報」それ自体には「良い」も「悪い」もなく、あるのは情報を受ける側のスタンスだけである。「知らなかった方が良かった」などというのは、受け手の対応能力不足。それ以外の何物でもない。せっかくの情報を有益なものにするか、無駄に垂れ流すか。企業が生き残るためのファクターは、そんなところにも隠されているようだ。

 

(久保純一)2015.06.20