物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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不動産賃貸業への偏見 - 113 

今日、倉庫や物流施設を保有するオーナーの収入源は、その多くが土地や建物の賃料といわれている。特に都市部では収入の7割以上が賃料というオーナーも珍しくない。これが果たして「倉庫業」といえるだろうか。収入の割合からいえば、これはもはや倉庫業者ではなく賃貸業である。

だが、「ほんとうは賃貸業」という事実を自ら認めるオーナーは多くない。確かに、代々守り抜いてきた「倉庫業」という看板に誇りを持つことは大切だ。しかしそこに固執するあまり、経営上の重要な要素を見落としてはいないだろうか。「倉庫業」に対する執着心が、収益力を増大させる可能性を排除してはいないだろうか。

「お客様の大切な荷物を預かる倉庫業」に対して「座して不労所得を得る賃貸業」というイメージは、なかなか排除しにくいのかもしれない。しかし賃貸業がいわゆる「不労所得」かといえば、決してそんなことはない。賃貸業の本質は、入居者の快適性を保ちつつ、その安全を守ることにある。財産のみを預かる倉庫業に対し、賃貸業はその生命の安全をも預かるのである。場合によっては倉庫業より高度なテクニックが要求されるビジネスであり、純然たるサービス業という認識のほうがその実態に近いかもそれない。

そもそも「倉庫業」と「賃貸業」は全く異なる事業だ。しかし倉庫業には「倉庫」というアセットがある。収益化を待つ「遊休不動産」があるのである。何より倉庫業も賃貸業も、「お客様のため」を最も大切にするという点で隔たりはない。倉庫業の誇りは、賃貸業でも役立つはずである。

(久保純一)2015.07.05