2012年、東運開発が最も力を入れる事業は、英語版「イーソーコ.com」である「E-SOHKO.COM/ENGLISH」の運営だ。イーソーコグループの基幹事業である「イーソーコ.com」を利用し、英語版の倉庫・物流不動産掲示板サイトを構築。海外から日本に進出してくる外資系企業が倉庫・物流施設を探す際に、必要となる情報を提供する予定だ。英語による物件検索、問い合わせ対応を可能にすることで、外資系企業の顧客化を目指す。１月中にもサイトを本格的に稼動させる。
　「国内倉庫を基軸とした総合ビジネス」というイーソーコ・ブランドに、外資系企業という異なった文化を持つ事業体とのビジネスを取り入れ、よりパワーアップさせ、シナジー効果を出したい。
　また、英語ニュースを翻訳し物流不動産ニュースへ提供、海外物流事情を紹介することも始めている。世界は広く、物流業界を巡るビジネス環境の変化は速い。国内でしか事業を行っていない企業に勤めていても、常に頭のどこかに世界の事情を入れておくほうが、広い視野を持って仕事ができるのではないだろうか。特に、若い人たちにはますますグローバル化する物流の動きに敏感でいてほしい。

　私が、海外関連のビジネスに着目しているのは、大学を卒業し、オクラホマ州立大学大学院に留学。卒業後、米国企業に勤めた3年半のアメリカ生活により、多くを学んだことが影響している。留学中の1968年、アジア人がほとんどいないジョージア州の田舎町においてDoor to Doorでバイブルのセールスマンを経験した。同年には、東京倉庫運輸から営業部の2名が渡米し、一緒にアメリカ各地の倉庫を見て回った。先進的なロジスティクスを実地で学ぶことができ、大変良い経験になった。
　78年からNational Council of Physical Distribution management（NCPDM）に参加。アメリカの物流学会に出席することで、最新の物流事情を積極的に吸収してきた。その後、NCPDMは1985年Council of Logistics Managementという名称に変更、さらにCouncil of Supply Chain Management Professionals（CSCMP）に改称され、現在まで継続的に参加し、大いに刺激を受けている。【2011年セミナーの模様はこちら 】

　アメリカ留学中、地域・慈善活動に熱心なアメリカ人のホスピタリティの高さに感銘を受けた。特にジョージアの田舎では、過去に日本人と接した事のある人や日本人に関心のある人に、日本人ということで大変親切にしてもらった。過去に米国と交流のあった日本人のホスピタリティーに感謝した。大学職員や地域住民の方々が、アジアからの留学生にアドバイザーやホストファミリーを企画するなどとても親切にしてもらった。東京倉庫運輸の役員になってからも、海外からの留学生への支援を行い、地域活動に取り組むなどしてきたが、アメリカでの経験が基礎になったと思う。
　留学や海外とのビジネス経験は、人生において大きな力となる。「E-SOHKO.COM/ENGLISH」の運営、海外ニュースの発信などにより、日本の若い人たちが海外と交流し、グローバルビジネスへ飛躍するきっかけを東運開発が提供できればと考えている。
（東運開発社長・池田光男）

＜プロフィール＞
池田光男　1969年5月米国オクラホマ州立大学大学院卒業後、米国での会社勤務を経て、71年11月東運開発専務取締役、87年5月代表取締役に就任。72年4月東京倉庫運輸社長室長、89年6月常務取締役、91年6月取締役副社長などを歴任し、現在、東運開発代表取締役社長。