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人づくりは社会づくり その3「『俺を超えて行け』なんて言えますか」 - 128 

角田20151120_1

青少年指導員として子供たちと接する中で、仲間の指導員や地域の方から、こんな意見を耳にすることがある。

「今の子供たちは、マニュアル主義で自主性・創造性に欠ける」

基本的には優秀だが、想定外の事態に際する臨機応変な対処は苦手。要は融通が利かないのである。

人生、いつでもどこでも理想的な条件が揃うことは少なく、何事もそれが計画通り、理論のままに進むとは限らず、むしろそうでないことの方がよほど多い。ヒト・モノ・カネはいつも不足している(又は数があっても状況に適さない)ものであり、だからこそロジスティクスのニーズは絶えないのであるが、たとえ条件が悪くても、問題を解決する技量・要領こそ、大人が子供の成長に望む「生きる力」というものである。しかし、実際に何とかしてしまう子供が現れた時に、大人が喜ぶかというと、何故かそうでもないことが多いのは、経験の通りである。型にハマるな、マニュアルに囚われるなと言いながら、そこから外れた者に対する態度は(たとえルールやモラルには反していなくても)極めて厳しい。

結局のところ、自分たちに都合のよい範囲(型・マニュアルの想定内)で気を利かせろ、と言っていることがほとんどで、自分たちを超える次世代の可能性を受け容れる度量は、大人の方にこそ欠けていがちなものである。自分たちが作った・守ってきたマニュアルを、基本的なモラルやルールから逸脱しない中で、いかに変えて行くことが出来るか。それは紛れもなく自分たちに対する総括であり、その受認には大きな抵抗を伴うものの、それこそが次世代の育成成果であり、むしろ自分たちを超えてくれたことを喜ぶべきである。

子供は可愛いからこそ、自分たちの手の中で飼い慣らすのではなく、そこから脱してあらゆる状況に適応できる力を養うことが、真の愛情と確信する。

この事は、広く人材育成についても参考になるものと考える。

 (フリーライター 角田晶生)2015.11.20