物流不動産ニュース

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不透明な日本の倉庫 - 148 

海外の投資家が日本の不動産を取得しようとしてまず戸惑うことに、その不透明さが挙げられるという。共益費や敷金・礼金といった独特の商慣習に加え土地登記の仕方も海外に比べ複雑で、既築建物は修繕記録やバランスシートなど無い方が当たり前。新築でも提示される収支計画はあいかわらずあいまいだ。要するに、資産価値を判断するための情報量が圧倒的に少ないのだ。市場についても同様で、借地借家法や客付仲介・元付仲介の仕組みなど海外の投資家には到底理解できるものではない。不動産そのものに関する情報が少ない上に商慣習が複雑となれば、よほどのコネでもないかぎり敬遠してしまうのが当然だろう。日本の不動産が排他的といわれる所以だ。

これは投資目的に限ったことではないし、オフィスビルや高層マンションに限った話でもない。例えば海外の企業が日本で倉庫を借りる場合、この不透明さはそのまま物件の探しにくさや借りにくさにつながってしまう。土地勘もなく、信頼できる業者も知らない。借りる際の法的な制約もわからない。正確な図面さえなく、「現状を優先します」と小さく書かれた簡単な間取り図を渡される。これでは借りる意欲を持ち続ける方が大変かもしれない。

一方、マルチテナント型の大規模高機能物流施設では資料の見せ方を工夫し、わかりやすさと入居のメリットを訴えかける取り組みで海外企業の取り込みを図っている。もともと外資だからとか、資本力があるからできる、という方もいるかもしれない。たしかに大規模高機能物流施設のデベロッパーの多くは外資だし資本力もある。しかし既存の倉庫とのもっとも大きな違いは、海外からのテナントを取り入れようという意欲の有無なのではないだろうか。もっとも一社だけでがんばったところで日本の商習慣は変わらないし、そうそう海外からのオファーなども来ない。とはいえ内需の増大が見込めない以上、日本の倉庫の透明性を高めて海外へ売り込むことは、業界全体で取り組むべきなのではないだろうか。

不動産市場の透明性については、不動産総合サービスのJLLが2年に一回、世界各国の透明性を調査した結果を発表している。これによると前回(2014年)の日本の順位は26位で、先進国中最下位。アジアでも13位のシンガポール、14位の香港に大きく離されている。次回の結果発表は、例年どおりなら今年の夏ごろ。今のところは、経済の峠といわれる2020年までに少しでも上がればいいか、という消極的な目で見ている。

(久保純一)2016.06.05