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物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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多層階倉庫がついにアメリカにも - 164 

11月1日付のウォールストリートジャーナルが、プロロジスがアメリカ初の多層階型倉庫を建設すると報じた。

同紙日本語版によると建設地はシアトル中心部のすぐ外。農村部や郊外では空きスペースが豊富にあるものの、eコマースの売り上げ増加に伴って小売業の多くが都市部に倉庫を求めているという。しかしアメリカでは多くの都市で地価上昇がすすみ、倉庫として利用できるスペースがかつてないほど少なくなっている。多層階型の物流施設建設は、都市部へのラストワンマイルをより効率的に遂行したいというeコマース業者のニーズに応えたかたちだ。記事では、プロロジスはさらにニューヨーク市、サンフランシスコのベイエリア、ロサンゼルス西部や他の都市でも多層階倉庫の建設を検討しているとしている。

多層階の大規模物流施設は土地が限られた日本では一般的だが、実は世界的に見れば特殊な形態。同紙によると、今回プロロジスが建てるのは5万4000㎡の3階建てで、2階部分にはトラックの積み下ろし用バースが並んだ通路があるという。貨物用エレベーターで上れる3階は軽量の貨物を扱うことができるとしているので、ランプウェイは2階までだろうか。

「迅速な配達」がeコマースの競争力のひとつとなっている以上、都市部に物流施設を設けるという施策は納得がいく。しかし記事では「アナリストらは、プロロジスの多層階型倉庫の賃料が一般的な倉庫を最大で50%上回ると予想している」と報じているのだ。その上で、「飛躍的に顧客へ近づくことで配送コストを抑えようとする小売業者の多くにとっては、この賃料でも納得できるかもしれない」という大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤングのコンサルタントのコメントを載せている。

5割増しの賃料でも、迅速に配達できるのであれば払う価値がある。物流に要する費用は投資であって、それに見合った効果が期待できるのであれば進んで支払う。アメリカのeコマース業者には、その意識が浸透しているような気がする。アマゾンをはじめとするアメリカのeコマース業者が自前の物流網を構築しつつあるのは、まさにこの意識のあらわれだろう。物流をコストではなく投資と捉えるアメリカのeコマース業者たちには、見習うところがあるのではないだろうか。

もちろんアメリカでも、こうした施設の効果を懐疑的に見ている層も存在するようではある。交通渋滞などを理由に大型物流施設の開発に反対している人々もいるようだ。だがそこは合理性の国といわれるアメリカ。今回の施設の成否によっては、今後都市部の土地取得競争に物流施設が参戦するかもしれない。施設は2018年に完成する予定だ。

(久保純一)2016.11.20