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【集中連載】アスクル火災を追う(1)2・16ドキュメント 

2月16日12時頃(出典・消防庁)

アスクルの物流センター「ASKUL  Logi  PARK首都圏」は2017年2月16日に火災が発生、鎮火にこぎつけたのは28日。出火原因は未だ調査中だが、建物の窓が少ないため効果的な放水が難しく、倒壊の危険性などから消火作業には難航、倉庫火災では例を見ない惨事となった。

同センターは埼玉県三芳町上富1163に位置、鉄筋コンクリート造・鉄骨造の3階建て。延べ面積7万1891m2、建築面積2万6977m2の大型施設となる。この10年間で延べ面積5万m2以上となる大規模な倉庫は急増し、15年前の約6倍(10年前では約3倍)となる。

消防庁によれば倉庫火災は毎年約550件発生、 平均焼損床面積は113m2となる。延べ床面積5万m2以上の大規模な倉庫ではこの5年間で16件の火災が発生。部分焼が1件(6㌫)、 ぼやが15件(94㌫)だった。同センターも最新鋭の設備ということもあり、当初はほどなく鎮火するとも思われたが、12日後の2月28日だ。東京ドーム1個分にあたる約4万5000m2を焼損した。

出火原因は、現在いまだ解明されていない。さまざまな情報が錯綜しているが、火災発見者のAさんを中心に動きを追ってみよう。

朝の9時の空き段ボールを保管する「端材室」にAさんは入って、作業を開始。焦げ臭さを感じて振り向くと、端材室の床から50cmくらいの炎が立ち上がっているのを発見した。 Aさんは、着ていた衣服で覆って消そうとしたが、消えなかったため消火器を取りに行った。Aさんが消火器を手に端材室まで戻り、初期消火を行ったが、消火には至らなかった。次にAさんは1階南側にいたスタッフに火災発生を知らせに行き、消火器を持って、端材室に戻った。

消防庁の記録では、自動火災報知設備が鳴動したのが9時7分頃。鳴り響く警報音と煙を見て駆けつけたスタッフ2名が消火器で初期消火を行ったが、火の勢いが強く、消火できなかったため、携帯電話から119番通報を行った。
 
当時2階にいた複数のスタッフは、端材室上部開口部からの煙や炎が噴出しているのを確認しているが、炎の勢いが強く、初期消火困難だったため、初期消火を行わず、避難誘導を実施した。
      2階のコンベヤや物品が焼損(出典・消防庁)

火災発生時は前日の夜勤明けのスタッフも朝礼のため館内にいた。1階は137名、2階には237名、3階には47名のスタッフが在館していた。(続く)

ロジスティクス・トレンド(株) 水上 健