物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
最新ニュース・情報を発信しています。

  • メール会員情報変更
  • メールマガジンバックナンバー
  • ニュースメール配信登録

【新連載】延 嘉隆の物流砲弾<1>ゼロ金利時代にカネを引っ張らない経営者の責務 

(1)拙文をご披露するにあたって~

4月中旬、物流業界専門サイトの記事に、とある物流不動産ファンドの「2棟を228億円で譲渡、売却益69億円」という見出しが踊った。

日本プロロジスリート投資法人▼2棟を228億円で譲渡、売却益69億円

果たして、何人の物流企業の経営幹部が、この記事をチェックしただろうか。

大半の物流企業の幹部が“他人事”として、目も通さなかったことが容易に推察出来る。物流業界に身を転じて10年、この間、“美味しい”物流不動産に関心すら示さない物流マンをずっと理解出来なかった。

この度、イーソーコ大谷会長からのお声掛けにより、業界1位のメルマガ発行部数を誇るポータルサイト「物流不動産NEWS」で、寄稿する場を賜ることとなった。

元祖“ストリートスマート”を自称する筆者が、これまでに物流業界のなかで感じた素朴な疑問や矛盾、物流業界に蔓延している思考停止にもとづく、いわば“バカの壁”について、徒然なるままに綴っていきたい。

なお寄稿に際し、物流“放談”ならぬ“砲弾”というタイトルを賜った。世間を騒がす、“文春砲”の破壊力には遠く及ばない若輩者の戯言であるが、“変わる”勇気を持った物流マンのビジネスの「発想の転換」の一助となれば幸いである。

ご披露する拙文は、非公開設定のFacebookで“無責任”に綴ったものを再構成したもの。Facebook上の友だちは、自身がアナログでも目配せ出来る約200名に制限している。

ゆえに、表に出さないことを前提に書いた拙文であり、至らぬところも多い。

若かりし頃から、“暴言”&“失言”が持ち味の私ではあるが、イチイチ、ウルサいこのご時世、“お勉強好き”の物流マンとの意見交換や、ビジネスに紐つかない自己満足系の方からの質問に対応する気は、一切無いので、その点ご留意頂けたら有難い。

また、ビジネスに関連して面会依頼を頂く場合でも、実際にお会いするのは10~20件に1件程度というのが実情。

アポイント依頼の大半は断っているので、その点あらかじめご理解頂きたいとともに、基本的に、(1)人と会うのが嫌い(→人が大勢いる場に出たくない)、(2)勉強会やセミナー講師などに1ミリも関心が無い、(3)酒宴などの付き合いをしないので、各種お声がけなどお控え頂きたいとともに、“お勉強好き”な物流マンの方々におかれては、同業他社様が主催されている勉強会などをご活用頂ければ幸いである。

延氏FBのメインPhotoから。万人に理解を求めず、”わかってくれる人”だけに限定配信を続行中

ゼロ金利の時代に、カネを引っ張らない経営者の責務

結論から書こう。

“失格”とまでは言わないが、“デキる”経営者では無い。

資本主義を超える概念が確立されていない以上、物流業に限らず、経営はすべからく「投資とリターン」をいかに成立させていくか・・・の一点に尽きる。ゼロ金利の“今”、カネを引っ張ることを否定する経営者がいるとしたら、次の質問を投げかけたい。

「投資とリターンの原理原則において、あなたたちは、一体、何に投資をしている?」

投資する以前、ゼロ金利の時代に融資を引っ張れないなら、最早、時間の問題。廃業を見据えて、“不幸になる人を減らす”との発想に立ち、馴染みの同業他社に、頭を下げ、ソフトランディングをさせた方がいい。その方が社員の不幸を最小化出来る。次の景気減退期は、そう甘くない。

私はこの数年、経営者に、「ゼロ金利の時代に、カネを引っ張らずにいつ引っ張る?」と問いかけ続けている。

そして、ある一定の売上を超えた中堅・中小物流事業の経営者に対して、「物流不動産に着目したプレー(経営)スタイルを確立すべきだ」と助言をしているがどこ吹く風・・・。

経営者の大半は、ステレオタイプに「人材(人財)に投資している」などの答えが返ってくる。当然、物流業が労働集約産業である以上、人材(人財)教育は最重要課題の一つだ。

しかし、「人材(人財)やその教育に投資した結果、御社の売上と利益はガッツリ上がったのか?」との質問に、真正面から答える経営者は少ない。数字で結果を出せない投資や経営とは、一体、何なのだろうか?

無礼を顧みずいえば、それはしょせん経営者の自己満足か、“シツケ”を教育と勘違いしているのか、はたまた、本来、とうの昔にやっておくべきことを今更やっているに過ぎない。

ぶっちゃけ私は、そう思っている。無論、その全てを否定しないが、「勉強は楽しいよ」と教えることを生業にしていないので、その手の話をする経営者、物流マンとは関わらないようにしている。

なぜ、物流不動産に着目し、余裕があったら投資すべきなのかは、本連載で後述するが、ビジネスにおける経営者の使命は、ある一面において、「投資とリターン」が成立する構造を作ること。

然したる投資もせず、「大変だ!大変だ!」と言っている経営者がいたとしたら、それは「何もやってない」「無能だ」とアピールしているようなもの。経営者としての責務を放棄していることを自覚すべきだ。にも関わらず、そのような無責任経営が罷り通っているのが物流業の実態なのだ。

 

●延嘉隆氏プロフィール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
株式会社ロジラテジー代表取締役。
物流企業経営の視点で、財務戦略(事業承継・M&A・企業再生)・マーケティング戦略を融合し、物流企業の価値を上げる物流コンサルティングファームとして評価が高い。
物流企業を中心に、事業承継・相続、物流子会社の売却など、“ロジスティクス”、“卸”、“小売”などの財務課題で、卓越した経験を有する一方で、物流現場に作業員として入り、作業スタッフとの対話に勤しむ一面も。延氏の詳しいプロフィールはコチラ。

*本連載に関するお断り