物流不動産ニュース

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物流ビジネスと契約管理 − 第1回 コントラクトマネジメント(契約)

はじめに

 今期は『コントラクトマネジメント(契約)』を扱っていきます。コントラクトとは、契約書のことです。「契約書がどうした?」と思われた方もたくさんいることでしょう。先輩や得意先から受け取って、さらっと見ただけ、コピーを受け取っただけ、という経験の方がほとんどだと思います。

 昨今のコンプライアンスとかリスクマネジメントという用語は、実はこの契約の上に成り立つ概念なのです。法令遵守とは、刑法や民法のように国の定めた法律以外にも、契約で取り交わした双方企業の約束が大切です。しかも、この契約が民法刑法に当てはまらなければ、契約書自体が全く無効になるということも裁判所の判例で示されています。ですから、コンプライアンスとは企業間の契約から見直してゆく必要があるのです。リスクマネジメントも同様に、災害や保険の話題ではなく、契約違反となることのリスクをどのように回避するか、という視点が大事なんですね。物流不動産の不動産契約は、専門業者がひな形を示してくれて、多くの事例に合わせた不動産契約を準備してくれますが、肝心の物流活動の契約は当事者同士の、いわば経験則でしか整っていません。いわば、古すぎて使い物になるのかどうか不安で仕方がないよね、という状況なのです。

第1回 物流ビジネスと契約管理

 物流活動はシステムと呼んで良いほど、きちんとした目的と手続きの連続で構成された活動です。商品の受入、保管から作業、配送、受け渡し、債権の移動という決められたことが連続して進められる、一連の活動です。システムですから、入力と出力、条件と結果は理路整然と整理されていますので、天災や事故以外、契約書に表現することの難しさはあまりないと考えられてきました。しかも、物流活動を委託・受託する場合には、天災は免責、事故は原因追及に応じた賠償で済ませることは双方合意となることが通例です。
 仕事柄、様々な商材を扱う物流の委託・受託契約を見てきましたが、驚くほどシンプルなものから、外国保険会社が様々にチェックを入れて、免責事項を細々と条件付けした、まるでノートのように分厚い契約書もありました。
 さらには、外国契約書を翻訳して、誤訳や意味不明な条文がそのまま残っている契約書なんかもあって、びっくりするほどのバリエーション。つまりは、自由自在の表現文章の一大作品というのが実感です。

 みなさんが利用している物流委託契約書で、最初に目につくのは『委託契約』なのか『請負契約』なのか、という二元性です。
 委託とは言葉の通りに、「頼む」ことです。ですから頼み方や頼まれ方が詳細に記述されてきます。いつから、どこで、どのように、どんな結果が出ればよいのか、というプロセス全体が整理されているはずです。
 ところが、『請負契約』は簡単に言うと、結果を保証するもので、プロセスは完全にお任せになっているものです。住宅の建設などで使われる契約ですね。
 屋根や床をどうするかなどと、細かな仕様は説明されずに「完成した家」を引き渡すことが請負の結果なのです。
 物流活動では、輸配送や配達だけがA地点からB地点までの商品の移動を請け負うようなものですね。
 委託は細かな仕様を定めて、もしくは仕様の説明を受けて、納得してから委託契約を結ぶもの。請負は、手続きや方法は問わずに、結果だけを保証する契約です。ですから請負契約の場合には、指図や口出しは基本的に禁止されます。

 保管だけ、梱包だけ、輸送だけ、という単機能の物流を頼む場合には、委託でも請負でも契約は成り立ちます。けれども、指図や口出し、方法や手順まで委託側が関わるなら、請負契約では立ちゆかないことを最初に覚えておきましょう。

 今ではほとんどの業界、商材で物流委託契約が本流なので、委託契約のチェックの方法を解説してゆきますが、時々本文中に「請負」という用語が出てきたら、要チェックなのです。法律用語と日常用語はきちんと区分けして用いたいものです。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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