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民間活力と規制緩和 − 第10回 経済政策用語解説

 社会化実験というものが徐々に進んできました。民間活力を開放して、行政や自治をアウトソーシングするための実証実験です。どこまで官僚体質が排除できるか、凝り固まった国家体制をより柔軟に、ローコストオペレーションできるかの実験です。身近な所では、図書館、法務局、役所でのアウトソーシングが活発です。もともとパートタイマーやアルバイト君が働いていましたが、自治体が直接雇用するのではなく、業務委託によっての運営です。管理業務が不要となり契約書一通で現場運営ができるようになることのメリットは大きいものです。

 民間企業でも管理職がいなくなりフィールドマネージャーですから、280万人の公務員を明治以降の体制で維持することがそもそもおかしいのです。とは言え、世界中の公務員人数ランキングでは、日本はベスト3に入るほどの少数精鋭での運営なんですね。政治家の数が多すぎるような風潮もありますが、まだまだ。ギリシャは労働者の70%が公務員だったので、予算破綻が起きそうだったくらいですから。

 日本はリベラルなので、もともと小さな政府を志向しています。行政サービスが、比較の意味では低負担高福祉にはなっているものの、少ない職員で充実しています。問題は、人がいると仕事を作り出すというマーフィー問題です。

 産業界を指導するための省庁があると、書類と手続きが増えるのもマーフィーなのです。例えば市役所や出張所にいきますでしょう、すると書類を手渡すだけの人、説明する人はともかくも、事務所内を動き回る人の多いこと。それでも窓口は順番待ちで行列になります。書類の簡素化、自動化、そしてカウンセリングや説明のサービスを分離することで、ほとんどの手続きが全自動できるはずなのに、依然として多くの人が働き、私たちは窓口が平日しか開庁していないために不便極まりないのです。銀行がATMで十分なように、鉄道の切符は販売機で十分。バスもタクシーも一人で何役もこなしているように、行政窓口の効率化はまだまだ余地が残されています。けれど、ここにも法律や条例省令があって、「手渡し」などという文言が残っていたりするのです。規制の悪さですね。

 財政が壊れそうな状況で消費税が上がります、税がどんどん上がっていく中で、国家比較ではまだまだなどと言われています。日本には、確かに徴税の種類や額の低い面がありますが、「税のようなもの」が余りにも多すぎると思いませんか?

 自動車車検制度、学校入学制度、貿易手続き、法人設立登記制度と印紙代、弁護士や裁判所の手数料、医療費、公共交通機関や水道光熱保険料など、税ではないけれど生活のために必要な手続きが、すべてお金に関わっています。生活するための制度として、税金のようなものが多すぎるのです。

 小さな国家を目指しているのに、自治体や独立法人や行政周りの団体が、税のような収入源を持っていることに憤りを感じますね。

 自己責任を国民に求めるなら、規制はずべて緩和して民間化すべき時代に入ってきている、そうでなければ国家予算が足りずに破綻するかもしれない状況なのです。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)