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物流の製販一体 - 第12回 物流改革大全

物流改革は様々なイメージで語られてきました。圧倒的なコストダウン、持たない・運ばない物流、フルフィルメントと呼ばれる受注と物流の一体化、そしてSCMという究極の経営哲学を実現する手段としての物流の役割は多様です。

<製販物>とは、かつての花王が標榜していた製造・販売・物流の経営統合です。その成果は素晴らしくて22年間連続増益を達成してきました。あまりの驚異に日経新聞は花王の秘密を特集して連載記事に仕立てたものです。カネボウを引き受けたために塁損を抱え、連続黒字は記録を更新できませんでしたが、今でも製販物の一体経営は継続中です。

物流が販売の下支え、製造の後処理、そして在庫管理とJITに代表される適時適量の輸配送計画だけでは、製販物一体とは呼べません。SCMは日本風でいうところの製販物に他なりません。

作りすぎない、売り込みすぎない、適時に売り場に送り込む高速物流は、花王をして世界企業のP&GやJ&Jと競っていました。

それが可能だったのは物流の役割が市場のセンサーを引き受けていたからです。配送途上で出会う競合トラックや店頭、はたまた生産現場の裏口に見え隠れする他社製品の動向を物流マンが察知して、製販物情報として共有化していたのです。

物流マンにとって、自社の悩みは在庫に尽きるでしょう。多すぎる非継続商品、常に品切れで大慌ての売れ筋ヒット商品、そして物流センターをいつしか圧迫して身動きが取れなくなる在庫量の膨らみ。

それらはすべて、在庫が製販のリスクヘッヂになっているからです。

「いつ売れるかわからない」「製造が間に合わないかもしれない」という<時間リスク>を感じている以上、在庫は常に多く膨らむのです。

リスクは物流の薬として在庫に姿を変えるのです。

物流改革はこの在庫を徹底的に絞り込んでいくことに焦点を当てなければ成功しません。

在庫が膨らまなければスペースに余裕が生まれ、高速作業が可能になります。横持ち移動という無駄な輸送も生まれません。資金回転率も上がり、キャッシュフローは好転します。

物流改革の成果がキャッシュで測れるとしたら、これ以上の効果はないのです。

とはいえ、在庫削減のために需要予測や精度を求めることの誘惑にとらわれてはなりません。予測は予測であり、実測ではないからです。予測が当たるなら、実務者は無用となるのです。

営業の職務は需要に応えるのではなく、供給を浸透させることにあるからです。

小売店がお客の望むものだけを売るなら、日々の売り上げは経費さえ吸収できません。販売促進こそが小売業の務めであり、いわば供給の浸透こそが業なのです。

予測ではなく意欲、計画、浸透が営業活動であり、それを支えるのが生産活動です。営業計画にどれだけフィットさせるか、具体的には生産リードタイムを短縮しながら、生産コストの低減を図ること、そして高い品質を維持することが務めです。

製販物一体化こそが物流改革の真の姿であり、その成果はキャッシュでしっかりと測ることができるのです。

計測できない日常はマネジメントの対象ではありません。しっかりとキャッシュで目標を立て、キャッシュ効果を製販物一体化で実現してゆきたいものです。 

(イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)