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TANREN株式会社 佐藤勝彦 代表取締役ー挑戦者に聞く 第3回(後編) 

【対談】教育とは、原石を磨き宝石となすこと

TANREN株式会社代表取締役CEO 佐藤勝彦
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株式会社イーソーコドットコム代表取締役 早﨑幸太郎

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前編の続き)

 

短時間のロールプレイの繰り返しが基礎をつくる

早﨑:イーソーコグループでは定期的に、営業スタッフを中心としたプレゼンテーションのコンテストを行っています。倉庫のオーナーから物件のリーシングを任せてもらうためのもので、実践的なロールプレイのかたちをとっています。ただし役員をはじめ大勢のスタッフが見ている中では緊張もしますし、なかなか普段通りにはできていない部分もあるようです。より実践的なロールプレイにするために、貴社ではどのような指導をされているのでしょうか。

佐藤:1回で徹底的にやろうとして長時間のロールプレイを行うよりも、毎日少しずつ積み重ねていくほうが重要だと考えています。はじめから終わりまで通してロールプレイするのではありません。「いらっしゃいませ」の一言でもいいのです。それを毎日続けて、かつ昨日とはどう違うのかを日々研究できる人は、やはり営業トークの入り方がスマートです。大々的なロールプレイ大会には、普段の営業とは全く違う非日常的な緊張感が漂っており、効果は期待できません。短時間でもいい。毎日繰り返している接客を、意識することなく継続的に動画撮影して、後でそれを見返すことで自分自身の姿やその変化に気づくことができます。私には、短いことを続けることにこそ意味があるという強いこだわりがありまして、そのため「ナレッジシェアアプリ」は、10分以上の動画はアップロードできません。

早﨑:短いパートに区切れば、どこに課題があるのかもすぐ理解できそうですね。やはり実践的なロールプレイにするためには、一方的にしゃべるよりもお客様役を入れて、その質問や要望などに対するレスポンスも学ぶようにした方が効果的でしょうか。

佐藤:お客様にきちんと伝えるためには、話し方やタイミングもありますが、自分の引き出しのなかからワードを適切に選ばなくてはなりません。その引き出しがどの程度あるのかと、それをお客様の感情をどう汲み取ってどう伝えるかという問題は別だと考えています。お客様の感情に対する即興力は、「ナレッジシェアアプリ」ではない別のツールで身につけていくべきことです。そこはアナログで、現実的に顔を見てやった方が効果的でしょう。例えば俳優を相手にしたロールプレイの研修は、ひじょうに実践的です。「ナレッジシェアアプリ」で身につけてほしいのは、即興力に行きつく前の段階です。会話の入口で何を言うか、次に何を言うべきか、その次はどう伝えたらいいか。そうやって会話の流れを、話の分岐点ごとにおおむね5行程ごとに区切ります。その1行程について5回くらいずつ短いロールプレイをしていく。それをつなげていくことで、一連の流れに沿った会話が出来上がっていきます。しかしこれによって接遇で使う課題が全て解決するのではありません。即興力が必要なのであれば、今のところ実際に顔を合わせてロールプレイした方が良いと考えています。

 

「反転学習」「アダプティブラーニング」「アクティブラーニング」がキーワード

 

早﨑:「ナレッジシェアアプリ」でもうひとつ特徴的なのが、評価を4点満点にされているところです。一般的には5点満点が多い気がするのですが。

佐藤:そこもこだわりがありまして。私は、どっちつかずな評価は悪だと考えています。5点満点では、「良くも悪くもない」がでてしまいます。これは評価者のスキルにもつながりますが、誰かを評価するときに「良くも悪くもない」では、評価される人間は自分が正しいのかどうか判断できません。そういうゴールの見えない状況はつくりたくないのです。今のところ賛否両論で、6割くらいは好意的です。ただ課題もあって、一人の判断ではなくみんなで評価したいという要望もでています。一人の判断では、良いか悪いかの判断がかたよる場合がある。もちろん正当な判断を下せる人が評価すべきではありますが、大勢の意見を取り入れたほうが現実的な評価が下せるいという意見があったのです。そこで評価者を一人ではなく、複数の評価を表示できるように改変したところです。

早﨑:スカイプをはじめとしてビジネスでも活用できるオンライン系のツールが普及していきています。しかし結局のところ、誰かが評価を下さなくてはなりません。どういう評価基準で評価するか、どういう判断で評価したのか、そのコンセンサスを確立して、評価する立場のスタッフに徹底させる。私も、そこがもっとも難しいと感じています。

佐藤:それと、人材教育で最近いわれている課題が、ラーニングピラミッドのなかにおける学習定着率です。学んだことをどう定着させるか、ということですが、そもそもゴールや目的が設定されていないと興味がわきません。例えばクラウドについて研修をする際、スマホを売るには知っておいたほうがいいから、という理由ではモチベーションは上がらないのです。そこで大切なのが、アウトプットです。学んだ内容は、実際に体を使って動的にアウトプットすることでより身につきます。これをさらにすすめて、学ぶ前の段階で「こういうふうにやってみたらどうだろうか」というところから考えていくのです。これから学ぼうとする事柄に対して、自分はこう思う、というところからはじめて、実際にやってみます。そしてその結果を、グループディスカッションしてまとめます。それが正しかったか否かは、その時点で答えがでています。その一連の流れを教材化したものは、当然納得感のあるものになります。まず正しい答えがあってそこに行きつく道筋を示すのではなく、妥当性のある道筋を辿っていったら正しい答えに行きついた、というアプローチです。これが「反転学習」という考え方です。さらにその課程では、課題を解決するために自分で情報やコンテンツを選ばなくてはなりません。これが「アダプティブラーニング」という考え方で、昨今課題解決のための手法としても注目されています。それと「アクティブラーニング」という考え方。これは学習すべき事柄について、自分で筋道を立てて自主的に学ぶという概念で、まさに実践的な課題解決力が身につきます。この3つの概念は、より効果的な学習をすすめるためのキーワードとなっています。

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客観的に評価するためには、客観的に評価できる人を育てる

 

早﨑:この先の目標や目指しているゴールはありますか。

佐藤:まずは 2020年の東京オリンピックに向けて、日本の接遇術のレベルをさらに上げていくことです。オリンピックでは大勢の外国人が訪れることが確実視されていますが、そのとき「これこそ日本の接遇術だ」と世界に向けて発信してもらえるようなものを作り上げていきたいと考えています。また当社では「原石を磨いて宝石と化す」という言葉をポリシーとしていますが、恒久的な目標はこれにつきます。原石を磨き続けることこそ、当社の存在意義であると思っています。

早﨑:物流でも2020年に向け、徐々に変革がすすんでいます。物流業界では効率化やサービス強化、さらに大きな課題となっている人手不足解消を目的として、ドローンやロボットの導入なども真剣に検討されています。しかしこのように今まで当たり前といわれていたものを根底から崩す提案が出てきている一方、いまだに紙の伝票で動いている倉庫も珍しくありません。ICT化がすすむなかにあって、電話が一番早い伝達手段だったりするのです。オーナーにも問題はあって、現場のことはまかせっきりでそういう問題が把握できていない。現場は現場で、やめられたら人手が不足するから強く言えないのです。

佐藤:あるオフィスファニチャーメーカーの倉庫に行ったのですが、ひじょうにアナログで驚きました。部分的にはデジタルですが、システムの老朽化がすすんでいます。新しいことをやりたい気持ちはあるのに動けない、そんな課題を感じました。またオーナーと現場の距離が遠い、ということですが、話を聞く限りでは物流業はあまり縦に深い組織ではないと感じます。大手のIT企業などでは少ないユニットで効率化を図っていると耳にしています。デジタルを導入することで時間の創出や効率が図れ、ひとりあたりのタスクがもう少しこなせるようになるのではないでしょうか。そうすることで1チームの母数を少なくできれば、オーナーとの距離も縮めることができるかもしれません。こうした現場の問題は本来であれば中間管理職が支えるべきですが、それができず成長の妨げになっているケースが多いようです。現場を大切にしたいなら、マネージャークラスの中間管理職の育成に注力すべきと思います。

早﨑:老舗が多く、昔ながらのやり方を変えられないのも一因かも知れませんね。イーソーコグループがすすめる物流不動産ビジネスの本質は、本来「守り」の姿勢といわれてきた物流業に新たな営業スキームを付加して、「攻め」の姿勢に転換させるところにあります。それによって新たな収益源が確保できるということは理解されていても、実際に取り入れようという物流業者さんは多くはありません。そこで、従前からの物流業とは別にイーソーコと合弁で新会社を立ち上げ、その新会社で物流不動産ビジネスを取り入れてください、というスタイルをとっています。現在育成している物流ユーティリティープレイヤーは、そうして設立された合弁会社で活躍すべき人材でもあるのです。

佐藤:組織が大きくなって歴史を経てくると、本部で進めたいことと現場における効率的なやり方との間にギャップがでてきますから。現場の声をわかりやすい形で本部に伝え、それを見た本部が新たなやり方やサービスの可能性に気付く。そういう流れができれば、会社のあり方も変わってくるでしょう。動画は、それを伝えるツールとしても有用です。それを理解してくれている現場からは、「ナレッジシェアアプリ」を通してたくさんのノウハウが上がってきています。私自身も楽しいですし、なにより勉強になります。

早﨑:それでは佐藤さんのところにばかり営業ノウハウが集まってしまいそうですね。

佐藤:実は世界征服を企んでいますから。世界最強のセールスノウハウを集めた男として。

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国際物流総合展2021