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こつこつ頑張る物流の現場にもっと光を! 

 「物流が社会にどれだけ貢献しているか、社員にわからせるような経営者になりなさい」――。東京倉庫運輸・前社長の故・池田新一さんがおっしゃっていた言葉だ。私も経営者として、いつも心に留めている。物流は目に見えにくい、縁の下の力持ち的ビジネスだが、食品や医薬品をはじめとする国民生活に欠かせない重要物資を輸配送する大事なインフラ。少子高齢化による労働力不足で外国人労働者の受け入れが日本の大きな課題になっているが、人手が足りないからといって、外国人労働者を雇うという安易な考えで良いのだろうか。

 “物流が社会に貢献している”ことがまざまざと分かったのが、昨年3月11日に起きた東日本大震災だ。大震災により、日本は未曾有の損害を被った。すぐさま、日本および世界各国から救援物資が送られたが、一番問題になったのが、被災地へ向けて、いかに輸送手段を確保し、的確に被災者へ届けるかという物流の効率化だった。
 私たちは、日ごろから世界有数の豊かな生活環境に恵まれ、便利な暮らしをしているが、これも、正確で着実な日本の物流が支えている。緊急時に物流の重要性がクローズアップされることはもちろんすばらしいが、通常の生活でも、一般の消費者の方に物流の重要性に気づいていただきたい。物流の現場は、長時間の待機に耐え、正確な配送を行うドライバー、貨物をきちんと管理し、荷主のオーダーにあわせ、ジャスト・イン・タイムの調達に応える庫内作業員の頑張りがあってこそなのだ。こつこつ頑張る現場なくして、日本の物流、国民生活のライフラインは守られない。長年、倉庫・物流業を営んできた身としても、改めて現場のドライバー、庫内作業員の皆様に感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思う。
 例えば、一般の方なら身近な宅配便のドライバー、物流会社であれば自社、協力会社のドライバー、庫内作業員に「ありがとう」という運動を始めてはどうだろうか。感謝の気持ちを言葉にし、暖かい言葉と気持ちを循環させることで物流企業に勤める人たちのモチベーションアップにつながると考える。

 このようにこつこつ頑張る物流の現場に光を当てるには、物流業界全体の社会的地位の向上が必要だ。そのためには、業界あげて物流の重要性、日本の正確な物流のすばらしさを広報することが大事な手段の一つになるだろう。震災時の対応を含め、日本の物流の良さを英語で世界に発信することも、必要ではないか。世界中にインターネットが普及し、You TubeやSkypeなど無料の便利なツールがたくさんある。そういった無料ツールを戦略的に使いこなし、積極的に英語で日本の物流を広報するなど若い人たちには、新しいことにどんどん挑戦してほしい。
 従来の倉庫の「暗い、汚い」という負のイメージを変えていくことも大事なことだ。イーソーコ総合研究所が進めている倉庫リノベーション
<ahref=”http: www.facebook.com=”” sohkorenovation”target=”_blank”><fontcolor=”blue”>【倉庫リノベーションfacebookページ】は、倉庫を明るくお洒落なオフィスやスタジオに生まれ変わらせており、倉庫のイメージを大きく変える可能性を秘めている。若い人たちが、新たな発想、語学力、フットワークで日本の物流をリードしていってくれるのを期待している。
(池田光男・東運開発社長)

 <プロフィール>
 池田光男 1969年5月米国オクラホマ州立大学大学院卒業後、米国での会社勤務を経て、71年11月東運開発専務取締役、87年5月代表取締役に就任。72年4月東京倉庫運輸社長室長、89年6月常務取締役、91年6月取締役副社長などを歴任し、現在、東運開発代表取締役社長。