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首都圏インフラ特集・外環道▼整備効果見込まれるも… 

2012年06月18日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 都心15㌔圏の約85㌔を結ぶ東京外かく環状道路(外環道)。都市部の慢性的な渋滞解消に向け、外環道整備への物流事業者の期待は高い。
 気掛かりは全線開通の時期。国土交通省は昨年、東京区間の建設工事一部再開を決めたが、開通のめどは立っていない。
 外環道を含む三環状九放射ネットワークが計画されたのは40年以上前。その後、東名道や中央道など放射方向の高速建設は進んだ一方、環状方向の整備は遅れてきた。
 外環道の整備で期待されるのが、交通量の分散による渋滞緩和だ。東京では大泉ジャンクション(JCT)~東名JCTの区間が開通することで、環状8号線の渋滞緩和が見込まれる。
 千葉県も、渋滞損失時間が県道市川松戸線で約80%、市川柏線で約30%改善する試算だ。
道路網整備で地方も活性化
 海外で新興国が国際競争力を強化する中、外環道は日本の物流活性化という重要な意味も持つ。韓国、中国は主要都市の環状道路整備率が100%なのに対し、日本は50%にも満たない。
 日本総合研究所の寺嶋実郎理事長は3月の本紙インタビューで「網の目のようにつなぐネットワークが本来あるべき姿。人口も東京に集中しているが、クモの巣のように動ければいろいろな地域でチャンスが広がる」と指摘。外環道などの整備は日本列島を戦略的に活用するためにも重要とする。
 渋滞緩和や国際競争力の強化、環境負荷低減など多くの効果が見込まれる外環道。早期整備に期待は高まるが、全線開通のめどは40年以上経ったいまも立たない。
 現在、外環道で供用されているのは大泉JCT~三郷南インターチェンジ(IC)の約34㌔。松戸市小山~市川市高野を結ぶ千葉区間(約12㌔)は平成27年度の全線開通を目指しているものの、東京区間は開通時期や一部ルートでめどが立っていない部分も。
建設凍結見直されたが
 国交省は昨年、長年凍結していた大泉JCT~東名JCT区間約16㌔の建設再開を決定。環状道路の整備などに1237億円の予算を計上したが、建設用地取得の見通しは立っていない。
 国交省の東京外かく環状国道事務所は現状について「事業化区間の完成時期は何とも言えない」と説明。東名道や湾岸道につながる20㌔の予定路線に関しても都市計画も決まっておらず、東京区間は整備に時間が必要としている。
 国際競争力の強化に向けて、空港や港湾を中心に施策が打たれる首都圏のインフラ整備。道路網の整備も少しずつ動き始めてはいるが、まだまだ多くの課題も残っている。(小林 孝博)