物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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運送会社活性化に物流不動産ビジネスを! − 68 

 先日、ある運送会社の経営者と話す機会を得た。その社長の悩みは、「最近、運送業のみで収益をあげるビジネスモデルが限界に来ている。倉庫を購入し、運送に庫内作業を組み合わせる、保管スペースを賃貸するなど事業を複合化していかないと会社が立ち行かない」というものだった。
 右肩上がりで貨物量が増えていったバブル期と違い、トラック運賃は地を這っている。日通総合研究所の「2012年度の経済と貨物輸送の見通し」によると2012年度の国内貨物輸送は13年ぶりに、総輸送量が1・4%アップする見込みだが、運賃相場は低調なまま。燃料が高騰しても、海運や航空貨物のように燃料サーチャージの導入はなかなか進まないのが現状だ。
 上記の悩みを抱えた社長の言葉から、物流不動産ビジネスは中小運送会社の経営改善の突破口になるのではないかと考えた。従来の強みである運送の品質に磨きをかけるとともに、自社倉庫で付帯作業を行い、仕事の幅を広げる。自社物件以外にも他社の倉庫スペースを賃貸して、仲介料を稼ぐなど事業を多角化できる。また、倉庫の賃貸を行えば、他業界である不動産業のマインドも取り入れることになり、社内に運送とは違った業界の新たな風を吹き込み、活性化できるのはないか。
 この物流不動産ビジネスのマインドに共鳴した中堅運送会社の若手が2名、イーソーコグループに今秋、研修を受けにやってくる。ますます、物流不動産ビジネスは面白くなりそうだ。

(イーソーコ総合研究所 鹿野島 智子)