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通販▼物流サービスで差別化 激化する顧客獲得競争 

2012年12月27日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 通販業界では「送料無料」「翌日配送」など各社が物流サービスを強化する動きが目立つ。物流事業者の対応力が通販各社を支えている。
市場規模は5兆円を超える
 日本通信販売協会によると、平成23年度の通販市場の売上高は過去最高の5兆900億円(前年度比9.0%増)。インターネット通販がけん引し右肩上がりで伸長している。
 一方で、新規参入も増加。ある通販業界関係者は「参入障壁は低い。市場規模が拡大しても競争は激化の一途」と話す。通販各社が他社との差別化を図るために選んだのが、物流サービスの強化だった。
 利用者にとって、「送料」は購入先を選ぶ基準の一つ。経済産業省の電子商取引に関する調査では、利用者の3割が購入サイト決定で重視するとの結果。このニーズに応えたのが「送料無料」。22年には、アマゾンジャパンが、ことし11月には衣料品通販ゾゾタウンのスタートトゥデイが送料無料へかじを切った。大手が動いたことでこの流れはより強まるとみられる。
 さらに「返品無料」のサービスも。前出の調査で7割近い利用者が不安点として挙げた、実物の商品確認ができないということに対応した形だ。
 通販各社の物流強化は無料化だけにとどまらない。オフィス用品のアスクルがヤフーとの提携で10月にオープンした、日用品の通販サイト「ロハコ」は1都2府10県で「当日配送」を展開。化粧品のオルビスも、物流センター集約などによって物流効率化とリードタイム短縮を実現。11月から一部地域で「当日お届け」を開始した。
物流効率化で「当日配送」も
 物流強化の流れに物流事業者も応える。日本郵便は6月、東京23区と大阪府の一部で、午前中の差し出し分を当日に届ける「当日配達ゆうパック」を開始。ヤマトホールディングスは28年をめどに、東京―名古屋―大阪間で宅急便の当日配達を目指す。佐川急便は6月、電話での24時間集荷受け付けを都内一部で始めた。
 通販市場の拡大と通販各社の物流強化は誰がコストを負担するかの課題はあるが、物流事業者にも商機。サービスへの対応力が商機をつかむ鍵になりそうだ。(松井 悠)