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大須賀正孝ハマキョウレックス会長に聞く▼SGとの提携の狙い 

2013年02月19日

 ハマキョウレックス(本社・静岡県浜松市、大須賀秀徳社長)とSGホールディングス(同・京都市、栗和田栄一会長兼社長)が資本・業務提携を結ぶ。ハマキョウでは、国内3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業での提携による相乗効果に大きな期待を寄せる。3PLの一層の成長を目指す大須賀正孝ハマキョウレックス会長に話を聞いた。
 ――自力で培ったノウハウでこれまで3PLを拡大してきた。
 大須賀 長年積み重ねてきた事業で十分に結果を出してきた自負がある。今後も顧客に質の高いシステムを提供する姿勢は変わらない。正しい方法で真剣にやり続けていけば従来通り伸ばしていける。日本の3PL市場は無限にある。
 ――さらなる成長を目指した戦略をSGHDと一緒に進める。
 大須賀 自社の成長に対する危機感から、提携を考えたのではない。チャンスと捉えた。大きな相乗効果が間違いなく早く確実に得られる。提携の合意はそこに向けた第一歩。具体的な統合の中身はこれからしっかりと詰めていく。
 ――提携話はいつ持ち上がったのか。
 大須賀 昨年末にSGHDから話を受けた。じっくり話をしたが、提携へ向かう決断を下すのに時間はかからなかった。
株主総会めどに内容詰める
 ――いつまでに計画をつくる。
 大須賀 スピード最優先で取り組む。6月の株主総会には株主に説明しなければならない。株主に納得してもらえる内容を、協議を通じてつくり上げる。
 ――これまでもSGHDとつながりがあった。
 大須賀 あくまで現場の事業運営のパートナーだった。3PLの仕組みの構築で協業するようなことはなかった。
 ――提携で顧客の拡大につなげていく。
 大須賀 具体的な展開策はこれからの話。互いの長所を生かした事業が双方に大きな効果があることを期待するとしか、現段階では言えない。
3PLの基本方針は変えず
 ――営業エリアもさらに広がっていくことに。
 大須賀 基本方針は変わらない。あくまでも顧客があってそこに進出するのが鉄則。最初にセンターを構えて顧客を探すことはしない。顧客あっての3PL展開だ。
 ――近物レックスがグループ化し7年以上が経過した。
 大須賀 数字として結果を出すことができている。着実に成長しているといえる。
 大須賀 正孝氏(おおすか・まさたか) 昭和16年3月3日生まれ、71歳。静岡県出身。31年浜北中卒、ヤマハ発動機入社、青果仲介業などを経て46年浜松協同運送(現ハマキョウレックス)を設立、社長就任。平成17年近物レックス取締役、19年会長(現在取締役)。22年ハマキョウレックス会長。日本3PL協会長、静岡県トラック協会長、全日本トラック協会副会長など兼務。(谷 篤)
◎統合の速度が成否の鍵 日本能率協会コンサルティング 小沢勇夫氏
 ハマキョウレックスとSGホールディングスの資本・業務提携は、物流事業者の久々の大型提携で業界の注目度も高い。今回の提携の狙いを一言で表せば、「物流センターのオペレーション力(現場力、管理力)を高め、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業者として盤石の体制を構築する」ことにあるのではないか。
 ハマキョウはこの数年、物流センター事業で売上高を伸ばし続け、営業利益率も10%超の高い水準を維持。だが運送事業は、収益力を回復しつつあるが依然低い営業利益にとどまる。同社全体で見ると、成長の大きな踊り場に差し掛かっており、チャネル開拓力の強化が必要な状況と推察される。
 一方、SGHDは自社の3PL子会社・佐川グローバルロジスティクスの物流センター事業の収益性を早急に改善することが必要となっている。ハマキョウの持つ現場マネジメント力を導入して、オペレーション力向上を図りたいというSGHD側の狙いがうかがえる。
 これら両社の狙いが合致したことが、提携の背景にあるのではないか。
 これで、3PLで先行する日立物流やセンコーを追撃する準備はできたといえるが、物流事業者に限らず、提携の効果を出すには時間がかかるのが通常。どれくらいのスピードで、業務とマネジメントの統合が進むかに、成否はかかっている。
(略歴)
 小沢 勇夫氏(おざわ・いさお) 昭和34年生まれ。58年早大法卒。平成元年日本能率協会コンサルティング入社。入社以来、一貫して物流部門のコンサルタンティングを担う。
◎トンボの目 強者、手を握る
 今回の資本・業務提携に向けた動きはSGホールディングス側の打診によるもの。両社とも日本航空(=JAL)とのつながりが深い。SGHDがかつて持っていた貨物航空会社ギャラクシーエアラインズにJALが出資。トップレベルの交流があった。一方のハマキョウレックスも平成22年にJALの物流子会社を買収している。関係者の間では「こうした経緯を通じて両社が接近した」との見方も。
 SGHDは今年度を最終年度とする3カ年中期計画で売上高1兆1000億円の目標を掲げるが、前期は9000億円に届かず、目標達成が不透明な状況。中長期の成長の起爆剤としてハマキョウとの提携を求めた。
 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)は国内外とも競争が激化している。日本通運は電子・精密機器や自動車部品などのフォワーディングに加え、海外アパレル事業でも攻勢を強める。商社も手ごわい。SGHDは国内3PLをハマキョウに託し、海外3PLに資源を集中する可能性もある。(矢田 健一郎)