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物効法▼真価問われる2年間 日倉協、普及へ支援開始 

2013年03月19日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 物流総合効率化法で認められた倉庫の所得税などを軽減する制度の延長が、1月の税制大綱で決まった。財政難から一時は存続が危ぶまれた中、延長に安堵する関係者も多い。だが認定要件には防災対策が追加され、条件は一層厳格に。この数年は認定件数も伸び悩む。2年後の税制改正では特例措置の存廃議論が再燃する懸念もあり、倉庫業界では新規認定を増やす取り組みに乗り出した。
  
 会員事業者の物効法認定施設を増やすため、日本倉庫協会(岡本哲郎会長)は2月18日から、協会内に専門の相談室を新設した。これまでも会員から新設、増設する施設の聞き取りをしてきたが、今後はより細かな情報収集を進める。物効法の認定を希望する事業者がいる場合は手続きなどで支援を行う。
 2月19日には各地方倉庫連合会の関係者らを集め、臨時の事務局長連絡会も開催。相談室開設の目的や、地区倉庫協会や国土交通省と定期的な情報交換の場をつくる方針などを説明し、業界全体で物効法認定施設の普及促進を図る。
21年以降、認定件数伸び悩み
 物効法で認められた施設に税制特例などを与える制度は平成17年から始まった。同制度では高速道路のインターチェンジ5キロ圏内や臨港地区に保管や荷さばき、流通加工を一括で行える大型物流施設を建設。工場などから出る貨物を一つの施設に集めることで、効率的で環境負荷の少ない物流を目指すのが狙いだ。
 国から認定を受けた施設は5年間、所得税や法人税、固定資産税などが軽減されるといったメリットがある。だが、認定件数は23年時点でわずか168件。21年以降は毎年10件台と伸び悩んでいる。
 「会員の中には物効法の特例制度を知らずに機会を逃す事業者もいた」と日倉協。最近は三環状道路の整備などで、倉庫新設の動きを活発化する事業者も出始めている。だからこそ「あらためて物効法を周知し(会員事業者に)利用される制度にすることが重要」(日倉協)。
制度存廃の議論も一時浮上
 物効法の認定件数が伸び悩めば制度の存廃が問われるとの危機感もある。倉庫税制特例措置の延長をめぐっては昨年、国の財政難を理由に「特定業界に有利な税制を続けるのは難しい」と財務当局が難色を示した。最終的に延長は認められたが、国交省が要望していた認定要件の一部緩和は認められなかった経緯がある。
 4月からは物効法の特例措置が受けられる施設要件に、荷崩れ防止や非常用通信・電源設備の設置など防災対策が追加。ハードルは従来以上に高くなり、特例措置の利用に二の足を踏む事業者が出る可能性もある。
今後2年間の実績重要
 「制度存廃の危機感があるからこそ、いまは物効法の利点を広く伝え、認定件数を増やさないといけない。中小事業者が使いやすい制度にすることも重要。そのために今後2年間の実績づくりが欠かせない」(同)。
 倉庫税制特例措置をめぐる次の議論は、27年度の税制改正大綱で行われる見込み。物効法を事業者にとって使いやすい制度するためにも、これからの2年は真価を問われる期間になりそうだ。(小林 孝博)