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フォークリフト▼目的外使用「電球取り替え」で死亡事故 

2013年04月03日

 【物流ウィークリーhttp://www.weekly-net.co.jp/
 運送事業者の中には、フォークリフトで荷物を正常な状態で運搬しない、あるいは荷物の運搬以外に使用する「目的外使用」をするところもある。フレコンバッグをフォークの爪に引っ掛けて運搬中、バッグが落ちて従業員がケガをするケースなどが報告されているが、昨年、大阪で起きたフォークの目的外使用による事故では、電球の取り替え作業中に落下し、従業員が死亡している。
 「電球の交換はフォークを使ってやっているよ」と話す関西のある運送会社社長。倉庫天井部分の電球交換は、フォークの爪部分に従業員を乗せた状態で交換作業を行っているという。「高所作業車を使うと経費がかかるから」というのが理由だが、昨年9月、大阪のある会社で従業員がフォークを使って電球交換の作業中、墜落して死亡する事故が発生した。労基署は労働安全衛生法と労働安全衛生規則(安衛則)違反の疑いで会社と社長を大阪地検に書類送検している。
 同社は金属製家具の製造を行う会社。昨年5月、工場でフォークの爪を差し込んだパレットに従業員を乗せ、天井の水銀灯の取り替え作業に従事させていた。高さは4㍍が最高だが、天井に届かないのでパレットを10枚ほど積んで作業していた。しかし、従業員は交換中にバランスを崩し、高さ6mの地点から墜落し死亡した。この事故について、フォークを「その主たる用途外の用途に使用」したとして会社と社長が責任を問われた。
 安衛則ではフォークについて、荷の吊り上げや労働者の昇降など、荷役運搬以外での使用を禁止している。労基署は、「天井の照明器具の点検、補修、交換作業は定期的に実施する必要があることから、点検作業床や昇降設備を利用した作業が行われるべきだが、設備がない場合、高所作業車や移動式足場を用いて作業が安全に実施されるように配慮されるべき」と説明する。
 しかし、安衛則では、「労働者に危険を及ぼすおそれがないときは、この限りではない」との条件付きでフォークによる労働者の昇降を認めている。フォークの転倒のおそれがない場合で、パレットなど周囲に十分な高さの手すりを設け、かつ、パレットなどをフォークに固定または、労働者に安全帯を使用させる措置を講じた場合である。
 労働安全衛生に詳しい大阪のコンサルタントは、「昨年、大阪府内では墜落・転落による労働災害で18人が亡くなっている。フォークによる用途・目的外使用を原因とする死傷災害は多く、2m以上の高さでは安全帯が必要。事業者は、墜落のおそれがある場所での作業を従業員に命じる場合、墜落の危険性について注意し、また、墜落事故防止のための具体的措置が求められる」と注意を呼びかけている。