【株式会社イーソーコクール/松本瑞生氏】地元茨城に貢献したい—経営者としての新たな挑戦(Vol.5) 
イーソーコグループは、物流不動産ビジネスの業界化に向けて、若手経営人財の育成に注力している。昨年は20〜30代の社長が3名新たに誕生し、次世代のリーダー候補も多数育成中。こうした取り組みの一環として、㈱feelyou経営デザイン研究所の協力のもと「創業塾」を開催した。受講者5名にリレー形式で、受講の感想と今後の展望を聞いていく。
第5回となる今回は株式会社イーソーコクールの松本に話を聞いた。
(株)イーソーコクール代表取締役社長 松本 瑞生
2019年 常磐大学コミュニティ振興学部 地域政策学科 卒業。
小さい頃から公務員を目指し、大学では公共政策・まちづくり・政治を学ぶ。
卒業後は株式会社イーソーコドットコムに入社し、グループ会社でのジョブローテーションを経験。イーソーコ株式会社、東運ウェアハウス株式会社、イーカーゴ株式会社、モノオク株式会社などで、物流不動産営業・物流営業・物流現場・不動産管理・工事・人材派遣・運送・廃棄処分と幅広い業務に従事。現在はイーソーコ株式会社に所属。
1.創業塾に参加しようとしたきっかけを教えてください。
入社後、さまざまなグループ会社を経験する中で、地元・茨城にある茨城乳配株式会社との合弁会社『イーソーコクール』があることを知り、何かしら地元に貢献できたらなと思っていました。そんな時、大谷会長から「創業塾に参加してみないか?」と声をかけていただいたのが直接的なきっかけです。
実は、創業や経営という言葉自体、自分とは遠いものだと思っていました。今まで営業マンとして実務には携わってきたのですが、まさか自分が社長や経営を考える立場になるとは、全く頭になかったんです。ただ、せっかくの機会をいただいたので、挑戦してみようという軽い気持ちでスタートしました。
2.参加が決まったとき、率直にどのようなお気持ちでしたか?
「面白そうだからやってみよう」という軽い気持ちでした。
大学時代に国・自治体側の立場から、創業支援や企業誘致、産業振興という観点で“別の形の創業塾に参加したり、創業支援政策”に関わる機会があったため、全く未知ではなかったのですが、自分がまさか経営者を目指すというイメージは正直ありませんでした。また、参加前は数字を見るのが嫌いで、財務のシビアさも理解していませんでした。
実際に今回の創業塾に参加してみて、社長になるってこんなに大変なんだなと痛感しました。経費の額、そして自分の人件費も含めてシビアに考えなければならない。特に株主の皆さんへの説得材料としての数字を、数字が苦手な僕が出せるのかという不安は大きかったです。しかし、創業塾を通して、少しは成長できたかなと思っています。
3.営業の現場で感じた課題意識は?
イーソーコグループは年々グループ会社が増え、お客様に提案できるサービスが広がっています。営業として提案の選択肢が増える中で、「自分ならこう提案する」「もっとこんな仕組みがあれば便利だ」と考えることが多かったです。
さらに、お客様の課題解決はもちろんですが、物流は単なる企業活動にとどまらない社会インフラであり、社会課題の側面もある、非常に奥深い業界です。
特に、冷凍冷蔵の分野は、コロナ禍以降のEC成長や倉庫の老朽化によって、今最も注目されている分野の一つです。お客様からも「冷凍冷蔵の倉庫はないか?」と強く求められるニーズを感じていました。だからこそ、自分が主体となって、この分野で世の中に貢献できる仕組みをつくり、業界をリードしていく一助となればる方が意義があるのではないかと感じるようになりました。
4.「経営に関わりたい」と考えるようになったきっかけは?
正直に言うと、「社長をやってみよう」という心意気は最初はあまりありませんでした。一言で言うならば、求められたからという部分が大きいです。
茨城乳配さんは、僕のことを学生時代から見てくださっていて、営業マンとして日々頑張っている姿も見ていただいていた。「松本ってやつが頑張っている」と思ってもらえたからこそ、今回、イーソーコクールという会社にを立ち上げることになり、挑戦してみようと思いました。お客様からも、冷凍冷蔵の倉庫のニーズがあることを感じていましたし、求められていると感じたことが原動力です。
また、学生時代に公務員を目指す過程で、「世の中をもっと幅広く知らなければ世の中のためにならない」と強く思っていました。
そんな時に出会ったであったグロービスでは、経営大学院やMBAの考え方、VC(ベンチャーキャピタル)による投資の仕組みを知り、経営そのものが社会を動かす大きな力だと学びました。
さらに、地元・茨城での地域活性の取り組みに触れ、まちづくりと経営がつながる感覚を得たことも大きいです。社会の課題を解決するには、行政だけでなく企業や民間の力も不可欠だと感じ、次第に“経営”という役割に魅力を覚えるようになりました。
今回の創業塾で学んだ「なぜ事業をやるのか」というそもそもの意義についても、元々地元に貢献したいという思いがあったのですが、それがどう実現できるのかが学生の頃からの悩みでした。その部分が、今回腹落ちできたと感じています。
5.創業塾を通じて感じた苦労や、形にしたビジネスモデルはありますか?
創業塾では、この事業計画を具体的に作成しました。経営の理念、財務諸表の作成、そして事業計画書への落とし込みという手順で学びました。特に数字の計算や見せ方には苦労し、毎日頭を抱える日々でしたが、この計画を形にしたことで、実現に向けて大きな一歩を踏み出せました。
また、イーソーコクールでは、冷凍冷蔵の強みを活かして『イーソーコ.com』(https://www.e-sohko.com/)に派生して、冷凍冷蔵庫専用のマッチングサイトの作成に取り組んでいます。これは、これからニーズが増えていく冷凍冷蔵という分野に特化したビジネスモデルです。
最後に、今後の展望や目指す姿をお聞かせください。
目指すのは、冷凍冷蔵倉庫の業界でナンバーワンをとることです。
この事業は、私一人では限界があると思っています。イーソーコグループの皆さんの助けはもちろん、地元・茨城の会社であり、冷凍冷蔵物流のプロである茨城乳配さんと合弁会社である強みを活かし、地元からの社員雇用も積極的に行い、人を増やしていきたいです。
特に、地元を愛し、地元を営業し、しいては物流を愛し、物流を営業するファンを増やしたいと思います。
この「地元に貢献したい」という思いは、私の学生の頃からの揺るがない軸であり、社長としてそこはぶれることなく、覚悟を持って業界トップを目指し、地元に貢献していきたいと考えています。
【イーソーコ創業塾】

前回記事:マテハンアドバイザー・宅地建物取引士 佐々木へのインタビュー記事はこちら。








































